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2014年5月10日 講師:藤野 真挙

日本近代教育思想史入門−明六社知識人の教育論−

 現代日本における教育思想や教育にかかわる言説は、学校教育現場をいかに改善し、いかにして公教育を立て直すか、という前提に基づいた論じ方がなされます。しかし、公教育制度そのものが、近代という時代のなかで整備されたものであるならば、その論じ方もまた、近代の歴史的産物であることを見逃してはなりません。教育思想史は、こうした過去にあった教育に対する様々な言説や教育的事象を歴史的に位置づけ、未来の教育のあり方を歴史から考えることを目指す学域です。また、それと並行して、教育思想から近代という時代の特質を捉えるという、歴史学的課題に答えることも、教育思想史の重要な役割です。
 今回の講座では、近代国家の形成期、すなわち公教育制度の骨子すら不安定だった明治20年代までの教育思想を、日本に西洋的な「文明社会」を作ろうとした洋学者知識人を例として、紹介していこうと考えています。彼らは、日本の「文明化」という共通課題を持ちながら、それぞれが異なった文明観や哲学的思惟から、「教育かくあるべし」と様々な議論を展開していました。講座内では、実際に史料を読みすすめながら、彼らの思想的営為の一端に触れてみたいと思います。  

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