立命館土曜講座 開催講座一覧


2016年5月28日 講師:上野 千鶴子

加藤周一 傍観者か、行動者か?

  加藤周一文庫が立命館大学の新図書館に設置されることになって、うれしい。加藤さんの著作はわたしの少女時代からの愛読書だった。後にご夫妻と親しく接する機会を得たが、そのつど、加藤さんの学識の深さ、教養の厚み、国際経験の豊かさ、趣味の幅の広さ、伝統文化への造詣の深さに驚嘆し、自分を含めて知識人と言われるひとびとが小粒になっていくことを嘆いたものだ。加藤さんはその自伝的な著書『羊の歌』『続羊の歌』のなかで、自分がついに「傍観者」であったと規定しておられる。だが、ほんとうにそうだったのか?知識人とは、社会を外から傍観する周辺人にほかならないのか?加藤さんに影響を受けた次世代の者のひとりとして、加藤さんから何を受け継ぐか、知識人の役割とは何か、を考えてみたい。

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