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2016年9月10日 講師:服部 雅史

考えることの認知科学:思考の意識性と合理性

 私たちは、誰もが考えることをします。しかし、いつも合理的に考えられるわけではありません。つい感情的になったり、思い込みで決めつけをしたり、表面的な情報に惑わされたりします。不合理は避けたい、後悔はしたくないというのは、私たち誰もが思うことですが、そういったことと無縁の人はなかなかいません。それは私たちに、ものごとを意識的に考える努力が不足しているからではありません。また、論理的思考の能力がないとか、訓練が足りないとかいうわけでもありません。
 認知心理学の観点から、重要な論点が2つあります。1つは、合理性とは何かということです。合理性には二重の意味があり、しかも、二面性があります。もう1つは、意識性についての誤解です。私たちの思考の多くは無意識的であり、その上、意識的思考との間に乖離があります。つまり、私たちが意識する自分は、本当の自分ではないのです。
 今回の講座では、日常の中のさまざまな具体例や、認知心理学の実験で扱われてきた研究例をご紹介しながら、合理性と意識性を手がかりとして、私たちの思考のしくみについて考えてみたいと思います。

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