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2018年2月17日 講師:河口 尚子

障害女性の生きづらさに向かい合う

 障害者権利条約第6条において、「障害のある女性や少女が複合的な差別を受けている」とあるように、差別の複合性が着目されている。

 ある人が複数の事由に基づく差別を経験し、その結果、複雑化あるいは増幅した差別が引き起こされる状態のことである。つまり単にある差別に別の差別が付加されるということではなく、互いに絡み合い複雑に入り組んでいる状態を指している。被害は過重的になるにもかかわらず、個々の事由による差別が実証されにくいこともある。その複雑な状況を捉えるための分析軸として「交差性(Intersectionality)」という概念が用いられるようになっている。

 今回、この複雑に入り組んだ状態を捉えるため、あらかじめ「差別」の経験を特定し、それに当てはまる差別事例を収集するというアプローチはとらず、障害女性にとって「生きづらさ」を感じさせた出来事、およびそれへの意味づけを重視し、聞き取り調査を行っている。障害女性が感じている「問題」の背景に、さまざまな複数の事由がどのように同時に相互に作用して、一人一人の障害女性の生きづらさにつながっているのか、聞き取り調査をもとに考えていきたい。




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