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2018年9月8日 講師:神田 大輔

フッサール『ヨーロッパ諸学の危機』を読む

 『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』は、ドイツの哲学者エトムント・フッサール(1859―1938)の最晩年の著作です。これはナチスが台頭する状況のなかで執筆されました。フッサールはユダヤ系家庭の出身であったため、当時のドイツ国内では論文の発表も講演も禁じられていましたが、1935年にウィーンとプラハで講演を行う機会を得ました。彼はこれらをもとにして著作を発表する予定でしたが、それは生前には完成せず、彼の死後の1954年に『フッサール著作集』の第6巻として出版されました。  フッサールはこの本のなかで、ヨーロッパの諸学問が危機に陥っていると主張します。この「危機」とは〈諸学問が自然科学を模範とした結果、人間の生を適切に扱うことができなくなってしまった〉ということです。それはどういうことなのか。それについてお話ししたいと思います。また、そのような危機を克服するためには、自然科学的な思考をはじめる以前に私たちが生きている「生活世界」に立ち戻らなければならないとフッサールは言います。これについても解説したいと思います。


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