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2018年9月29日 講師:佐藤 愛

ミンコフスキー『生きられる時間』を読む

 ミンコフスキーの『生きられる時間』(1930)は、フッサール、ベルクソン、アインシュタイン、精神医学者ブロイラーらの影響のもと書かれた著作です。「時間はあらゆる人にとって同じように流れているのか?」という問いが、過酷な時代を生きた著者によって力強く問われます。著者であるウジェーヌ・ミンコフスキーは、ポーランド系ユダヤ人としてロシアのサンクトペテルブルクに生まれ、その後ポーランド、ドイツ、スイス、フランスへと順に渡りながら、医師として過酷な時代を生き抜きました。時代は、「早発性痴呆」と呼ばれていた病が、ブロイラーによって「精神分裂病(現・統合失調症)」と名称変更された頃でもあり、著者は、日々変化するヨーロッパ情勢や精神医学における理論を踏まえながら、力強く時間に対する問いを立て、思考します。 またこの著作の魅力は、あまり知られていない空間論にもあります。ミンコフスキーの空間論には、豊かな暗がりの魅力が詰まっています。  当日は皆さんとご一緒に理論的・時代的背景を紐解きながら、この著作における時間への問いの力強さと、空間論の魅力を堪能できましたら幸いです。


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