立命館土曜講座 開催講座一覧


2019年2月23日 講師:里深 好文

頻発する土砂災害から大切なものを守るには

 自然災害が発生すれば現地に赴き調査する。もう30年近く繰り返してきた。雲仙普賢岳噴火災害、阪神淡路大震災、東日本大震災、紀伊半島大水害、西日本大水害。毎年のように我が国は自然の脅威にさらされ、多くの人々が命を奪われてきた。私の記憶に深く刻まれた数多くの被災地の姿は、より安全な社会を実現したいという私の研究の原動力となっている。一方で、とてつもない自然の威力の前にある種の無力感を感じてしまうことも否めない。被災地で聞くのは「まさか、こんなことになるとは思わなかった」という後悔と、「行政は何をやっていたのか」という責めや嘆きの声ばかり。高度に発達したはずの社会が、ひと皮剥けば、か弱き人間の集合体に過ぎないことを思い知らされる。世の中にはこれほど情報があふれているのに、なぜ人は災害からその身を守れないのだろう。何が足りないのだろう。いつまでたっても正解にはたどり着けないのかもしれないが、大事なものを守るためにやるべきこと、やれることを探し続けている。


前のページに戻る

このページのトップへ