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2019年5月18日 講師:石川 准

2020年の障害者権利条約初回日本審査に向けて

「障害者」とはどういった人たちだろうか。私が研究している障害学という学問では、社会的な障壁による不利益を重視して障害者を定義している。その障害学を日本で広めるために、私たちは2003年に日本の障害学会を立ち上げた。障害者権利条約は、こうした障害学の社会的障壁を重視する考えかた(社会モデル)に基づいている。その条約を日本は2014年に批准し、2016年にその実施状況に関する報告を国連に提出した。国連の障害者権利委員会による日本の審査は来年、2020年に予定されている。2017年に障害者権利委員会に委員に加わって以来、いろいろな国の審査、そして勧告に携わってきた経験と、障害者政策委員会という日本での国内的な条約実施状況のお目付け役の経験両方から、日本の障害政策向上のために、障害者権利条約をどのように活かせるのだろうか考える機会としたい。私たちの社会がいまだにかかえる社会的障壁を取り除き、「障害者」と呼ばれる人たちへの排除を減らし、なくするために、障害者権利条約をどのように役立てるのか、来年の初の審査を前にして、私自身も考えを深めたい。


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