立命館土曜講座 開催講座一覧


2019年8月31日 講師:藤岡 惇

『核ミサイル防衛』の復活と日本の針路     ――『世界終末時計2分前』のリアル――

 すべての学問は「好奇心」から生まれたといわれますが、例外が一つあります。平和学だけは「恐怖心」から生まれたからです。  
 米国の科学者たちは毎年末に、地球滅亡までの時間を表す「終末時計」を発表しています。冷戦ピーク時の1957年には、「2分前」というレベルに落ち込みました。1991年には「17分前」に戻されたのですが、2017年・2018年と、「2分前」という最悪レベルに再び、落ち込んだのを御存知ですか。
 なぜそうなったのでしょうか。宇宙軍の創設を背景にして、「核ミサイル防衛」という野心的な目標を30年ぶりにトランプ政権が追求しだしたことと関係があると私は睨んでいます。ロシア・中国・北朝鮮を相手にして、仮に核戦争が始まっても、宇宙(衛星)軍と前線国家のあいだに「核の盾」を築いておけば、米国の中枢部は生き残ることができる、そうすると核戦争を管理し、有利な条件下で休戦に持ち込めると、トランプさんは考えている節があります。しかしそんなにうまく進むのか。
 3度目の核戦争は、宇宙戦争、サイバー攻撃・原発攻撃を伴うかたちで進むことでしょう。いま日本のような「前線国」が「改憲」を行い、核ミサイル防衛に全面的に組み込まれると、どうなるのか。電磁パルスが宇宙から地上を襲い、電力網の全系崩壊が起こり、長期間、「核の闇」に閉ざされる。最悪の場合、日本は無人の荒野に戻る可能性があると思います。  
 どうしたらよいのか。核ミサイル防衛という目標を中止すること、北朝鮮の願いにこたえて「朝鮮戦争の終結」に応じることから全ては始まるのではないでしょうか。

前のページに戻る

このページのトップへ