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2019年10月19日 講師:松本 克美

「慰安婦」「強制動員」問題を修復的正義の観点から考える

 「慰安婦」「強制動員」問題を修復的正義から考える
 
 日本政府は、「慰安婦」や「強制動員」問題は「解決済み」の問題だとして、これらの問題は未だ未解決だと主張する被害者や韓国政府の見解に反論しています。これらの問題の「解決」とは何を基準に考えたら良いのでしょうか。本講義では、修復的正義の観点からこの問題を考えたいと思います。修復的正義は、被害者の被害の回復に焦点をおき、重要なのは加害者が被害者に与えた被害の重さを自覚し、真摯に謝罪すること、それによって被害者は自分が悪いのではなく加害者が悪いのだということ、なぜ、自分がこのような被害を被ったのかを知り、アイデンティティを回復する契機にすることができ、また、加害者も更生をして社会に再統合する力を身につけられる、社会、コミュニティはこうした関係の修復を支援する役割を果たすべきという基本思想に支えられています。「慰安婦」や「強制動員」の問題の解決の方向性もこうした修復的正義の観点から考えていくべきではないかと思っています。ドイツで最後まで残った戦後補償問題と言われた強制労働問題の解決が連邦・州政府と企業が出資した基金「記憶・責任・未来」によって解決された過程についてもお話ししたいと思います。




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