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2019年10月26日 講師:庵逧 由香

朝鮮人戦時強制動員問題の歴史的意味

 昨年から日韓関係の焦点となっている、いわゆる「徴用工」裁判。これは裁判だけの問題ではなく、日本の植民地下での戦時動員や、ひいては朝鮮植民地支配に根本的な原因があります。アジア太平洋戦争で日本が労働力・兵士として朝鮮の外に動員した朝鮮人は、当時の朝鮮人人口の10%を越えていました。その何倍の数が朝鮮内で動員されました。また人口の7割を占めた朝鮮人農民は、生産責任制のもと米を供出させられましたが、その朝鮮米は当時の「日本帝国」の米6割を占めました。
 日本の研究でも、「強制動員」の実態は明らかにされており、「通説」となっています。にもかかわらず、「強制はなかった」と主張する人々が後を絶ちません。それは、動員された何十万、何百万という人々が動員された方法や状況などが非常に多様であるのに対して、現在から見ている人々が「強制動員とはこういうものだ」という勝手な像を作り上げ、「そうでない多くの人々」を「強制動員でなかった」と決めつけているからではないでしょうか。今回の講義では、このような複雑・多様な強制動員の構造を検討します。

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