#09 2001年5月17日


 タイトル:消費者は時間を買う
 
●前回のラベル新聞の発表
●各班ごとで資料を見ながらこの問題について考える
●ラベルワーク



1.消費者は時間を買う


 この消費不況に名前を付けるなら「物欲減退不況」がふさわしい。なぜなら、消費者は買い物という行為自体にもう魅力を感じていないからだ。日経ビジネスの調査によると約6割の消費者が買い物に費やす時間を減らしている。その理由は「必要なものが一通り揃っているから」「忙しさが増しているから」「ものは要らない、時間が欲しい」などである。
 すべての日本人が買い物に費やす時間は年間333億時間。この限られた、そしてもう増えないであろう時間を企業は奪い合う。その認識を持たなければ「物欲減退不況の泥沼に沈んでいくだろう。突破口は二つある。消費者の買い物時間短縮の欲求に徹底して応じるか、時間を忘れるほどの感動や快適さを提供するかだ。     

*ケーススタディー 

☆ T スーパー 
・ 顧客の「時短ニーズ」・=「待てない症候群」
・ 日常的な買い物には、できるだけ時間を割きたくない。
・ 「ダイエー」での現状
   立地は便利、品揃えも値段も悪くないが、煩わしい・・・・・・。
   狭い駐車場 各店舗ごとの会計 商品の配置問題
* 問題点・・・大型店はいまだ消費者に買い物の楽しさを求めている。
これからのスーパー
・ 「米ユークロップス」での現状
 女性の社会進出により、スーパーでの買い物時間が減る。ファーストフードのtake outや、レストラン利用により外食産業に駆逐される恐れあり。
 そこで、安さよりも、時短=献立作成、買い物、調理のトータル時間の短縮,巨大な惣菜売り場、メニューの提供
売り場は食品そのものではなく、家庭が食事を用意する上で抱える問題の解決方法を提供する。(ホームミールソリューション)

☆ U 百貨店
 日本では、特に百貨店内で客を回遊させる(「噴水効果」「シャワー効果」と呼ばれる)ことが購入単価向上になるといまだに考えられている。 
しかし、自由時間の減少に伴い、消費者が事前に買う物を決めている「目的買い」が増えている。ファッション品等は消費者が本当に欲しいものを見つけられない場合が目立つ。そこで、「消費者の嗜好に合わせた品揃えの拡大」を対応策として挙げている。しかし、買い物時間を短縮させたい消費者にとっては、物の多い見にくい売り場は逆効果である。
  「欲しいものを手早く買いたい」という消費者の願望に応える策が必要である。 
・トゥデイズレシピ (伊勢丹 東京 新立川店)
  忙しい主婦のために、今日の献立の調理方法を実況し、レシピを客に配りつつ、必要な食材の販売を行う。
・グリーター  (高島屋)
  グリーターと呼ばれるスタッフ(百貨店版コンシェルジュ)が、顧客に売り場の案内から買い物の相談、近所の他店への道案内まで行う。
  一方、効果的な買い物をすすめるだけでなく、専門的知識を持つ従業員が2〜3組の顧客を担当して、3〜4時間アドバイスつきで買い物をしてもらう方法をとっているのが大塚家具である。これによって「良い買い物ができた。」という顧客満足につながり、客単価UPにつながっている。

 短時間で効果的に買い物をしたい客、買い物時間を真に価値あるものにしたい客、双方の意見を取り入れていかねばならない。

☆ V 外食
  外食業界は、客の回転率によって経営効果を左右することもあり、時間にはとても敏感な産業である。
・吉野家 ディー・アンド・シー
  「うまい、早い、安い」のキャッチフレーズ特に「早い」に対してこだわり
  吉野家における利用客の滞在時間は、平均約9分のうち85%が「食べる」時間
に使われている。
1 券売機を置かず、決して客を待たせないことを第一に考える。
2 短時間で料理を提供するためのメニューの絞込み
・ドトールコーヒー
 消費者のわずかな時間を取り込むため短時間で商品を提供する努力を重ねてきた。
1 商品を提供するまでの目標時間を設定
2 ハード面の改良を欠かさない
3 すぐに提供できるメニューの拡充(朝食もコーヒー1杯の時間で済ます客)

 消費者が外食店に求めるものは金銭的節約だけでなく、時間節約の部分も大きいはず。消費者のニーズに応えるために努力してきた企業の成長が証明される。


☆ W その他サービス業  (ビジネスマンに人気な二つのQ)
 サービス業はもともと、「時間を売る」側面が色濃い中で、消費者の時間感覚の変化に敏感にならざるを得ない。それゆえ、サービス業における新しい試みは、小売業や外食産業、メーカーが1歩先を考えるヒントとなる。
 ・キュービーネット QBハウス(東京)理髪店
1 10分1000円の料金体系。1分の無駄な時間が100円の機会損失となる。
2 メニューはカットのみで洗髪や髭剃りはない。伸びた毛を切るのに時間とお金をかけない。
3 店内に電話はない。(電話に対応する時間削減のため)
4 会計は券売機(両替には不対応。店員が両替すると非効率)
 ・クイーンズウェイ Queensway 足の裏マッサージ
1 25分2500円からの料金体系。しかし、50分5000円が人気!
2 治療行為はできないので、効果や効能をうたわず、「心と体のリラクゼーション」リラックスできる時間を味わえる時間の切り売りが成り立つと考えられる。
3 ハーブの香りやガラスを多様に使い、高級感を漂わせる。

普通のビジネスマンは忙しい
   髪は伸びる、しかし時間はかけたくない。
   早く、安く終らせたい。

 忙しいからこそ、ホッとした時間が欲しい
   その時間はできるだけゆったりで快適であって欲しい。

 忙しい一人のビジネスマンの中に同居する二つの感情がここでは二つのQが見事に探り当てた。


2..ラベルワーク