第7章 コンピュ−タ環境



 オ−ストラリアのコンピュ−タ環境は、パ−ソナル・コンピュ−タ・レベルでは基本的にIBM/PCが中心であるが、教育機関を中心にAppleもかなり普及している。筆者が主として滞在したボンド大学は創立後6年目であったため、電子メ−ルやインタ−ネットが利用できるようなネットワ−ク環境はまあまあであった。各研究室などに設置されているコンピュ−タは創立当初に導入され、当時では処理能力も遅く、不十分なApple Macintosh SEであった。基本的な電子メ−ルやワ−プロなどの利用はできたのであるが、白黒でモニタ画面が小さく、ハ−ドデイスクの容量が少ないなどの制限があったため、時にはネットワ−ク上でアプリケ−ション・ソフトを利用する必要があり、そのソフトを呼び込むだけでも時間がかかり不便さを感じた。幸いに、AppleのPowerBook Duo230を持参し、研究室とアパ−ト間を交互に持ち帰りながら利用したので、それほど不便さを感じなかった。また、アドバイザ−の研究室にあったワ−クステ−ションも時々利用させてもらい、専門的なデ−タ処理などもした。


<エピソ−ドその6>

 ある日のこと、持参し使用していた私のコンピュ−タのトラック・ボ−ルの調子がよくなく、原因を聞きに、大学キャンパス内にあるAppleコンピュ−タの専門店へ持っていってみると、その原因が分かり、費用も40ドルで30分くらいでできるからということで修理を依頼した。ところが、受け取りに行くと、思ったより時間がかかり、1時間以上かかったので、その倍の80ドルを請求された。「そんな馬鹿な!40ドルと言ったのにその2倍もかかるとは。」しかし、「まあ仕方ないか。」と諦めて支払ったのであるが、今度は、その修理中に内部の枠部分の一部を破損してしまったとのことで、新しいものと取り替える必要があるとのこと。もちろん、その取り替え料金を支払う必要はなかったが、その時間のかかったこと、大変不便さを感じた。そして部品が入手できたので、取り替えるからと連絡を受け、持っていくと、すぐに取り替えてくれ、確かに問題ないように見えたのであるが、またまた内蔵バッテリ−が使用できない状況になってしまった。どうも取り替えた内部の枠部分との接触が悪いらしいということで、別の枠を取り寄せて、もう一度入れ替え、無料チェックするということになった。精密機械ということもあり、専門家に任せたのに、何ともお粗末な処理結果である。幸いに、その後は問題がなかったが、何回となく出向いたり、電話連絡を強いられ、思った以上に時間を取られ、苦い経験をしたのであった。

 最後の約2ケ月間は、ブリベ−ンにあるクイ−ンズランド大学へ出かけたことは前述したが、そこのコンピュ−タ環境の基本はユニックス・システム(UNIX System)であった。筆者が利用した言語教育研究センタ−では、旧式のLLにワ−クステ−ションやIBM PCやマッキントッシュが数台づつ入り混じって設置されていた。筆者のいた共同研究室にはネットワ−クにつながっているDOSコンピュ−タ2台とマッキントシュLC1台があったが、慣れているマッキントシュを利用した。しかし、例えば、ボンド大学の電子メイル・システムは、利用者に優しいアイコン表示のスタイルで分かりやすいインタ−フェイスであるが、クイ−ンズランド大学の場合は基本的に全てがユニックス・システムのため、やや複雑な行程(指示にしたがってコマンドを入力して操作する)を経なければならかった。様々な通信ができるスタイルではあるので、最初は戸惑ったが、慣れてしまえば全く問題のないものであった。


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