2017年5月に開催された「第94回関西学生陸上競技対校選手権大会(以下:関西インカレ)」、走幅跳で7m80という20年ぶりの大会新記録で2連覇を果たした、遠藤さん。2位の選手とは1cm差で優勝を勝ち取った。

助走にかける思い

小学4年から陸上を始め短距離に打ち込んでいたが、中学3年のころに先生に勧められ走幅跳でも大会に出場した。そこで好成績だったことから、高校から本格的に走幅跳も始め、高校、大学では走幅跳と100mに取り組んでいる。走幅跳は跳躍の技術やリズムも重要だが、「僕にとっては助走やそのスピードが一番大事。助走で自分の走りができたとき、良い結果につながるんです」と語る。助走の中でも意識しているのはその1歩目。21歩の助走でも1歩目が崩れれば全てが崩れてしまうという。

悔しさをバネに自分と向き合う

昨年までは、6本目に高記録がでることが多かったため、最初の3本で決勝進出が決まる大きな大会では予選落ちすることが多かった。「もう少しで決勝に残れたのに」という悔しさから自身の跳躍を見直したところ、踏み切りやすくするため、マックススピードまではいかない走りをしていたことに気付いた。そこで、自分の走力を生かし全力で助走をするようにしたことで、助走も安定し、3本目までに良い記録がでるようになったという。一方で、課題も生じた。全力で助走することで、4本目以降は疲れが出て、記録も落ちてきたのだ。今では、6本目でも安定した記録を出せるようにすることが目標だ。

陸上をやっていて嬉しいのは「自己ベストを出したとき」だと話し、関西インカレでの記録は約1年ぶりの自己ベストで、喜びをかみしめたと振り返る。しかし、この記録ではまだまだ足りないとさらに上を目指す遠藤さん。常に何がいけなかったのか、なぜ跳べなかったのかその原因を考え、助走や跳躍などを見直し、次の試合へつなげている。初出場となった6月の「第101回日本陸上競技選手権大会兼第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)代表選手選考競技会 」では、会場の雰囲気にのまれ思うような跳躍ができず、7m55で9位という結果に終わり、その次の大会でも結果が出なかったが、その反省を生かし、「第8回ひらかたロングジャンプカーニバル」では関西インカレと同じ自己ベストを出すことができた。

先を見据えて闘い続ける

遠藤さんが目指すのは、9月8日から開催される「天皇賜盃第86回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)」での優勝だ。「日本選手権での優勝者は学生でしたし、学生の大会でもレベルは高いと思います。そこで良い記録を出していかなければ、来年の日本選手権につながらないので、これまでの経験を生かし、良い結果を残して自信につなげたいです」と話す。すでに来年の試合も見据え、さらなる高みを目指す、彼の今後の活躍に期待したい。

PROFILE

遠藤泰司さん

大阪桐蔭高等学校(大阪府)卒業。横山政敏教授のゼミに所属し、ブラック企業についての研究を行っている。趣味は一眼レフカメラで風景や陸上の写真撮影。


<2017年度成績>
4月 第81回京都学生陸上競技対校選手権大会
 走幅跳 1位(7m51)、100m 1位(10秒49)、4×100m 2位
5月 第94回関西学生陸上競技対校選手権大会
  走幅跳 1位(7m80)
6月 2017日本学生陸上競技個人選手権
  走幅跳 5位(7m79)
6月 第101回日本陸上競技選手権大会
兼 第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)代表選手選考競技会
  走幅跳 9位(7m55)
6月 秩父宮賜杯第70回西日本学生陸上競技対校選手権
  走幅跳 2位(7m57)
7月 第8回ひらかたロングジャンプカーニバル
  走幅跳 2位(7m80)

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