地域住民との交流が生まれる家

目の前に海が広がり、舟屋※が並ぶ京都府与謝郡伊根町に、地域住民と学生の交流の場である1軒の家「オランハウス」がある。伊根町の本庄地区農村保全会の協力を得て活動している学生団体「オランアース」が、地域住民との交流イベントを開催している拠点だ。

※1階が船のガレージ、2階は居室となっている建物

海外での経験をきっかけに

「オランアース」の代表である藤本さんは、海外旅行や留学の経験から、現地の人との交流は視野を広げ人への理解を深める機会になると実感し、地域住民と観光客が交流できる観光地をつくっていきたいと考えていた。伊根町は、以前から立命館大学の他団体と交流があり、町づくりの考え方が藤本さんと目指す方向性と同じだったことから、新たに団体を立ち上げ伊根町での活動を決めたという。「オランアース」は、「観光客を受け入れる地域」をつくるため、地域の人々が普段関わりのない学生や留学生と交流を持ち、お互いに学び合える機会をつくることから始めた。町からの依頼を受けて、小学生や地域住民、SNSでの呼びかけに集まった留学生と田植えを行ったり、小豆の種まきやお祭りなど、積極的に地域のイベントに参加し、8月からは「オランハウス」での活動に着手した。「拠点があると、地域の人に認知もされやすく、学生も継続的な活動がしやすい。さまざまな価値観を持った人達が気軽に交流できる、新しい気づきや発想が溢れる場所にしていきたい」と語る藤本さん。「オランハウス」では、高齢者を招いた手作りピザ交流会を開催し、自己紹介ゲームをしたり、一緒にピザを作り、交流を深めた。これらの活動は、学生にとっては伊根町の暮らしを知る貴重な機会、留学生にとっては日本文化に触れる機会ともなった。9月、小学生、留学生と一緒に地元の竹でお皿やお箸をつくり、流しそうめんをするイベントを開催した際には、それまで関わりのなかった人たちが手伝ってくれたり、様子を見に集まってきてくれたことで、少しずつ自分たちの活動が広がっているのを感じたという。

一人一人が輝ける団体であること

19人のメンバーのうち半数以上が1回生であり、今年3月に設立したばかりの「オランアース」。メンバー全員が高いモチベーションを維持することは難しく、まだ団体の運営にも苦労している面もあるが、「地域住民との活動であり、自分たちの活動には大きな責任が伴うので、メンバー全員が主体性を持たなければいけない。一人一人が持つ力を発揮することでオランアースの目指すボーダレスな空間づくりが可能になる」と代表の藤本さんはメンバーの気持ちを引き締める。今後は月に1度イベントを開催し、地域住民とのつながりを継続的に強めていくとともに、観光客が楽しめるようなものをみつけていきたいという。藤本さんをはじめ「オランアース」の挑戦は始まったばかりだが、地域の協力を得て大きな一歩を踏み出している。

PROFILE

藤本直樹さん

京都府立鳥羽高等学校(京都府)卒業。高校時代は野球部に所属し、甲子園にも出場。フィリピンへの語学留学をきっかけに東南アジアを周遊。2016年には半年間インドネシアへ交換留学を経験。 2017年10月からは、「トビタテ!留学JAPAN」日本代表プログラムの7期生として、オーストラリアで地域を基盤においた観光地経営をおこなうDMO(Destination Management Organization)の研究と実践に取り組む。留学中にインドネシアでもオランアース同様のプロジェクトを計画中。

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