ピストル競技は所持に厳しい規制があるため、民間人で所持できるのは500人に制限されている。大会などでは警察官や自衛官がその大半を占め、民間の競技選手がトップ選手として活躍するのは極めて稀なことだ。2017年9月に開催されたJOCジュニアオリンピックカップ(以下、ジュニアオリンピック)兼第28回ISSFジュニアライフル射撃競技選手権大会10Mエアピストル競技で2連覇に輝いた射撃部の宮脇さんは「今年は参加できる最後の年。2連覇したい気持ちが大きかったです」と大会を振り返る。

1時間15分の制限時間内で60発撃ち、10点である的の中心を狙うのがピストル競技。「10点を当てたときの爽快感がいい!」とその面白さを語る宮脇さんは、「物怖じしない」ところが強み。しかしジュニアオリンピック当日は、自身が思っている以上に“大会2連覇”という重圧を感じたという。競技終了直後は納得いかない得点で優勝を諦めていたというが、結果2位と4点差の556点で自身の持つ大会記録を更新し見事2連覇を達成。類いまれな集中力を発揮し、ここまで上り詰めた。

シンプルな動作の中にある奥深さ

ドラマなどで警察官がピストルを撃つ姿に魅了され、幼少期から憧れていた競技。小学6年のときに大阪で開催された体験会に参加し、その気持ちは本物だと確信。しかし、自宅から練習場が遠いという理由で両親に反対されたという。その後もピストルへの憧れは覚めることなく、中学3年の春、もう一度説得し競技を開始した。実際に競技してみると、シンプルな動作の中にさまざまな技術が必要だと実感。特に、ピストルを固定することが重要で、現在も体幹や筋力トレーニングに余念がない。

くすぶる思いを打破し、スタイルを確立

技を磨くために練習漬けの日々を送っていたが、大学入学後は生活環境の変化についていけず、思うように成績が伸びなかった。宮脇さんが通う大阪いばらきキャンパスから射撃部の練習場がある柊野グラウンドまでの移動時間は約1時間30分。大阪の練習場で練習したほうが効率いいと考えると、部の練習になかなか参加できず、部員との関係に悩むこともあったという。

フォームを変えたり、ピストルに触れず全てをリセットしたりと、試行錯誤していた日々。そのころ、母の協力を得て食事制限による減量をはじめたのも復調のきっかけとなり、徐々に自分のスタイルを確立させた。今では、「環境をよくするのは自分自身しかない」と考え、部活と大阪の練習場をうまく組み合わせて練習に励んでいる。同世代の活躍に触発されたり、部員との何気ない会話は心が和むという。

挑む世界への舞台

日本の活躍が期待される五輪競技の一つであるピストル競技。「10月に実施されるインカレでの2連覇はもちろん、2020年の東京五輪出場権も必ず手に入れたいです」とスランプを乗り越え愚直に努力してきた宮脇さんは、仲間や家族、支えてくれた人たちの気持ちを胸に刻み、東京五輪を目指す。

PROFILE

宮脇正人さん

大阪府出身。初芝橋本高等学校(和歌山県)卒業。射撃部のない高校だったため、大阪府ライフル射撃協会の社会人クラブに所属し大会に参加し経験を積む。高校3年のときに初めての国際大会に出場、団体戦で日本記録を樹立し、2017年度オリンピック有望選手に選出。小杉隆信教授のゼミで環境問題について学び、今後は中国語を学ぶ予定。

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