2017年8月に台湾で開催された「第29回ユニバーシアード競技大会・武術競技(南拳・南棍総合)」で3位、銅メダルを獲得した朝山さんは、「結果はすごく誇らしいことですが、本来の実力は4位、5位の選手のほうが上です」と世界の壁を感じたという。

武術太極拳とは、中国武術をもとにしたスポーツ。一つひとつの動きに攻防の意味があり、美しさや技の完成度などを採点し競う、迫力ある華やかな競技だ。大会では長拳、南拳、太極拳※1など套路(とうろ)※2が実施されている。

※1:長拳=一般的にカンフーとして知られる。素早い動きが特徴。南拳=中国南方から伝わったと言われる。発声しながら力強くこぶしを打ち出す技が多い。太極拳=ゆったりとした動きが特徴。

※2:型演舞の個人競技。身体だけで行う演技と剣、刀、棍、槍などを使う器械種目がある。

持ち前の運動神経の良さを生かし、頭角を現す

幼少期から、体操、水泳、サッカーなどさまざまな競技を経験し、運動能力を高めてきた朝山さんは、6歳から太極拳を始め、高校から本格的に打ち込んだ。なかなか頭角を現せずにいたが、高校3年のときに出場したJOCジュニアオリンピックカップで優勝。「最優秀選手賞を獲得したときは嬉しかったです」と振り返る。しかし、国際大会に出場するには及ばず、悔いの残るジュニア時代だったという。

苦難を乗り越え、本場中国の技術を習得し成長

大学入学後から戦いの場をシニアに移し、毎年、全日本大会へ出場していたが、いつも全日本の2~3番目の位置。朝山さんが著しく成長したのは、3回生のとき、長期休暇などを利用して単身中国へ赴き、本場の技術を肌で感じてから。「プロを目指す中国の選手から多くの刺激を受け、視野が広がりました」。培ってきた技術に加え、表現力が研ぎ澄まされたのだ。

驕ることなく高みを目指す

今回、世界の舞台で表彰台に上がったが、他の選手がミスして勝つという状況だった。それを打破するには自身の技術をあげるしかないと朝山さんはいう。「現在、日本人のジャンプ動作は1回転半が標準ですが、中国では2回転が常識になりつつあり、そのレベルについていけるように技を磨かないといけません」。今まで大きな怪我はないが、腰痛や靭帯損傷を経験しているので、フィジカル面の強化を課題として掲げている。

次の目標は、来春行われるアジア競技大会への切符を手にすること。日本の同世代のライバルに勝って出場したいと意気込む。「もちろん世界の壁もあるけれど、まずは日本で太極拳の第一人者になりたいです」。朝山さんにとって、今回の表彰台は通過点に過ぎない。これから、日本の頂点を極め、アジア、そして世界を制してくれることを期待したい。

PROFILE

朝山義隆さん

大阪府立箕面高等学校(大阪府)卒業。2011年JOCジュニアオリンピックカップに出場し、南拳・南刀・南棍の3種目全てで優勝し、最優秀選手賞を獲得。大学ではスポーツ社会学を学ぶ。大阪府武術太極拳連盟に所属し、週5~6日練習。今後は武術太極拳が五輪の正式種目になるように普及活動に勤しむ。

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