「モーグルがいちばんかっこいいスポーツだと思っていて、誇りを持っています」と、自身のモーグルへの熱い思いを語ってくれたのは、2017年11月12日、オーストリアのカプルーンで開催されたモーグルのFIS大会で8位、日本人では3位の成績で2シーズン目のワールドカップ出場権を獲得した、藤木さん。FISポイント※の上位者が選出されるナショナルチームに所属しており、年に6回行われる合宿に参加している。ナショナルチームは藤木さんら3人の育成選手含む男子8人。育成選手からは、藤木さんのみワールドカップ出場権を得た。

※国際スキー連盟(FIS)の公認大会に出場し、結果や出場する他の選手が保有するポイントによって、算出される世界共通のポイント

大好きなスキーと向き合う毎日

小さい頃からスキーが好きで、小学4年生のときに初めてモーグルの大会に出場したが結果は5位。その悔しさから本格的に取り組み始めた藤木さん。中学2年生のときに初めてナショナルチームに選出され、高校以降はずっとナショナルチームとして活動してきた。ナショナルチームの合宿以外では、大学のジムでの個人トレーニングや、スキー部のトレーニングもこなす。自分なりに試行錯誤しながらモーグルの練習やジムでのトレーニングをしていくなかで、どうすればモーグルに生きてくるのか、常に自身で考え行動するようになったという。

初めてのワールドカップ出場

2016年には念願だったワールドカップに初出場を果たしたものの、自分の納得のいく滑りができず、攻め切れなかったと振り返る。ただ、海外選手や日本の上位選手たちの様子を間近に見ることで、試合までの組み立て方や流れをつくることを学ぶことができた。その悔しさや経験から自分の弱点を見直し、今年のオフシーズンには、新しいトレーニングを取り入れたり、メンタルの強化に取り組んできた。始まったばかりの今シーズン、「今まででいちばん体も仕上がっていて、自分がどれだけ成長できたか、結果が出るのが楽しみです」と話す。

2度目のワールドカップ出場

今年のワールドカップは、12月9日のフィンランドでの初戦を皮切りに、世界各地を周り、6戦を戦っていく。ずっと4年に一度の冬季世界大会出場を目指してきた藤木さんにとって、今回もワールドカップ出場権を獲得できたことは大きな一歩だった。「モーグルができる環境をつくってきてくれた周囲の人に感謝の気持ちでいっぱいです。冬季の世界大会出場を果たして、応援してくれるみんなに、恩返ししたいです。目の前の一戦一戦を、自分らしく攻めて戦っていきます」と力強く語った。大きな夢舞台に向け、藤木さんの雪上の闘いは、始まったばかりだ。

PROFILE

藤木豪心さん

桃山学院高等学校(大阪府)卒業。スキー部所属。
趣味は、甲子園球場での野球観戦で、オフの日には、キャッチボールをすることもある。モーグルではフランス語を話す選手が多いため、大学の語学でフランス語を学び、海外の選手とも積極的にコミュニケーションを図っている。

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