5歳からボーイスカウト(以下、スカウト)活動をしていた八里さんは、1997年に発団、その後部員や活動の減少などを理由に2014年3月に廃団していた「京都第90団 立命館ローバース」を2017年2月に復活させた立役者だ。大学でスカウト活動することで、さまざまな人や地域と交流ができるのではと考え、復団させたい気持ちが強くなったという。SNSなどを駆使してスカウト経験者に呼びかけ、「鯖街道を歩く」など復団に向けてさまざまな活動をしてきた。

※立命館大学内でのローバースカウトの呼び方。ローバーとはボーイスカウトの中で18歳以上の青年男女が活動する部門

スカウト活動を通じ、刺激を受ける

長年続けているスカウト活動の魅力を聞くと「よりよい社会人の育成がスカウト活動の目的。男女分け隔てなく活動でき、自分が行動すればやりたい活動ができるところが面白いです。でも、楽しくないなぁ…と思っていた時期のほうが長いかもしれません」と意外な言葉が返ってきた。両親の勧めで始めた活動だが、幼少期はあまり楽しくなかったという。

転機が訪れたのは高校のとき。大阪連盟の同世代のスカウトたちから刺激を受け、自身も積極的に行動するようになったという。2015年、日本で開催された世界中のスカウトたちが集う「スカウトジャンボリー」に参加した際は、世界中のいろいろな文化や考え方に触れた。

ガーナ派遣までの道のり

2016年12月、「京都連盟全体ラウンドテーブル・ローバーの集い」で実施された元WHO職員の講演会に参加した八里さん。ガーナ共和国(以下、ガーナ)などの熱帯・亜熱帯地区の国々で、主に手足に潰瘍ができる感染症「ブルーリー潰瘍(顧みられない熱帯病)」や「イチゴ腫」が蔓延していることを知った。これらの病気は、初期段階における適切な薬物治療で手術せずに完治できる病気であるにもかかわらず、正しい知識がないため放置し、重症化してしまうという。「私たちにも何かできることがあるのでは…その為に現地に視察に行こう」と、八里さんたちスカウト4人と指導員2人のガーナ行きが決定。八里さんはゼミでの学びを生かし、病気の正しい知識を英語で書いた絵本を作成して、ガーナに渡った。

自分の目、肌で感じたガーナ

2017年9月10日~18日、現地を視察してみると八里さんがイメージしていたガーナとは違う現状があった。「『途上国=貧困』という当初のイメージ以上に、国力不足というイメージをより強く持ちました」。また、ガーナでは50近くもの言語が使われ、英語が通じず、作成した絵本も役に立たず、会話もままならなかったという。ただ、同じ目線で接する八里さんたちの気持ちが通じ、心を開いてくれたのだろう。「たくさんの笑顔を見ることができたのは嬉しかったです」とコミュニケーションの上では手ごたえもあった。

「現地を訪れ、病気の現状だけでなくライフラインに係る実態など多くの学びがあり、さまざまな支援の可能性があることが分かりました。しかし、その答えにはまだ辿り着いていません。継続的に視察し、試行錯誤しなければいけない。そして、多くの人に現状を伝えていきたいです」。帰国した今、現地の写真を用いた写真展の準備をしている。スカウト活動17年、八里さんの挑戦はまだまだ終わらない。

PROFILE

八里智穂さん

追手門学院高等学校(大阪府)卒業。5歳からスカウト活動を始め、自ら奮起し立命館ローバースを復活させ、代表として活躍した。卒業後もリーダーとして立命館ローバースに関わり、スカウト活動の魅力発信やガーナで撮影した写真展開催に従事する。小澤亘教授のゼミで、文章・音声・画像を統合したデジタルテキストを作成するDAISY(デイジー)班に所属。2018年4月からはコンベンション開催などをサポートする会社に就職予定。

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