東日本大震災から7年。現在も福島県双葉郡楢葉町で地域に寄り添う活動をしている「そよ風届け隊(以下、そよ風)」。今、京都でできること、京都の人に伝えたいことはなんだろうと考えていた、6代目代表を務める吉村さんが中心となり、2017年11月28日、ふくしまの家族を追いかけたドキュメンタリー映画「Life生きてゆく」の上映会とトークショーを立命館大学朱雀キャンパスで開催した。当日は、立命館生を中心に90人近い来場者があった。

今まで京都での活動実績があまりなく、広報活動も手探り状態。「京都の人に響いているか当日まで不安でしたが、来場目標人数も達成できたのでよかったです」と吉村さんは振り返る。また「Life生きてゆく」の上映会を行う他大学との交流会などで学生同士の繋がりもでき、今後も協力して新しい取り組みを仕掛けていく予定だ。

「東北」「復興」について考える日々

吉村さんが東日本大震災を経験したのは中学1年のとき。明るかった担任の先生が東北出身で、震災後はどこか塞ぎがちになっていたのが忘れられなかったと振り返る。それから「東北」や「復興」という言葉が心のどこかに残っていたという。

1回生の夏休み、サービスラーニングセンター主催の「大船渡盛町七夕まつりサポートプロジェクト」に参加し、初めて東北を訪れた。「何かできることがあればしたいという思いでしたが、逆に地域の人によくしていただき、励まされました」。その後、復興支援とは何か、自分なりに突き詰めたいと強く思い、楢葉を拠点に活動するそよ風への加入を決めた。

東北での素敵な出会い

2017年6月には、人材育成プログラム「チャレンジ、ふくしま塾。※」に参加。東北でのフィールドワークを通じて、さまざまな分野の人と出会い、自分にできることは何かなどさらに考えるきっかけになった。また、同じ塾生がそよ風のメンバーに加わってくれたことも大きな喜びだったという。「そよ風の思いに共感し、一緒に活動すると決めてくれたメンバーとも出会え、本当に貴重な経験になりました」

※2013年、立命館は福島県と地域社会の発展と人材育成に寄与することを目的に連携協力に関する協定を締結。その一環として実施された福島県庁広報課との人材育成のプロジェクト

地域に寄り添い、協力しながら前へ進んでいきたい

代表としての強い意思を持っている吉村さんは、代表になる前はサポートするタイプだったという。「メンバーも減少し、今後の担い手が少なくなる中、“自分がやらなきゃ”と思いました。また、楢葉の人からの『代表になってこれから先も、そよ風の活動を続けてほしい』という言葉も心に響きました」

代表として過ごしたこの1年で、多くの人と出会い、学び、今後につながる活動ができたと振り返る一方で、本当に地域に寄り添った活動ができているかという自問自答を続けている。そのような中、楢葉の人の思いを胸に、楢葉はもちろん、京都でも活動の幅を広げていこうと決めた吉村さん。震災を風化させない、させたくない気持ちが、そよ風の“継続力”につながっているのだろう。

PROFILE

吉村大樹さん

京都成章高等学校(京都府)卒業。京都地裁で行われた模擬裁判のイベントに参加したことがきっかけで、法律の勉強をしたいと法学部へ進学。3回生からは村上弘教授のゼミで行政などについて学ぶ予定。小学校から中学校までは野球に打ち込む。趣味はスポーツ観戦と旅行、最近始めたカメラ。

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