「自分のやりたいことを明確にして、人を巻き込み、動かすことの難しさと楽しさがありました」と話すのは、2017年12月にベトナムの日越大学※で開催された「ベトナム語スピーチコンテスト」を企画した髙池さん。日越大学が初めて受け入れたインターンシップ生だ。このコンテストは、ハノイ市内の大学に留学中の日本人学生が、日越大学のベトナム人学生とチームを組んで実施され、日本とベトナムの学生のつながりを作る機会となった。

※日本とベトナム政府の支援で設立され、2016年9月に開学。現在は修士課程のみで、JICAとベトナム国家大学ハノイ校が中心となり、大学運営を行っている

海外インターンシップへの思い

幼い頃から「将来は海外で働きたい」と考えていた髙池さん。2回生の後期に、大学の「国際PBLによるイノベータ育成プログラム」でインドネシア大学へ留学。強い意志を持って積極的に課外活動に取り組む他の留学生を見て自分の不甲斐なさを感じたという。主体的に新しいことにチャレンジしたいと、海外インターンシップへの参加を考えていたところ、3回生の夏に大学のサマープログラムで訪れた日越大学でスタッフに誘われ、チャンスをつかんだ。

ベトナム人学生と日本人学生の交流の場を作る

インターンシップの期間は2カ月半。多くの人に影響を与える仕事がしたいと思っていた髙池さんは、日越大学の日本での知名度を上げるため、広報活動に取り組むこととなった。学生が運営するASEANの情報を伝えるウェブマガジン「アセナビ」に、学生の目線から見た日越大学を紹介する企画を提案し、特集としての掲載が決定するなど、ベトナムへ発つ前から積極的に動いた。ベトナムでは、特集記事の取材やSNSを使った情報発信、大学周辺のレストランのマッピング活動などを進める傍ら、ティーチングアシスタントとして日本語授業のサポートをしたりと、さまざまなことにチャレンジした。日越大学から、「スピーチコンテストを開催してみないか」という話を受け、興味を持った髙池さんは、渡航後すぐに企画にとりかかった。ベトナム人学生と日本人学生が交流できるようにチームでの練習を設けたり、観客にも楽しんでもらえるよう、採点方法にも工夫をこらした。一番苦労したことは、留学中の日本人学生を探すことだったという。日越大学には日本人学生は在学していないため、人づてに参加してくれる学生を探した。

当日は、髙池さんはベトナム語での司会を担当。スピーチする日本人学生の横で、ベトナム人学生が紙芝居や劇をするなど、会場は大いに盛り上がったという。スピーチコンテストをきっかけに、日本人とベトナム人の学生たちが一緒に食事をしたり、旅行をするまでの交流につながり、その姿をみて、嬉しかったと振り返る。帰国後には、「アセナビ」の記事をまとめ、3月末に公開することができた。

ベトナムでのインターンシップ生活を振り返り、多様な国籍の学生との寮生活で文化の違いを感じながらも、互いを尊重する重要性や、協調性を学ぶことができたと話す。ベトナム人スタッフやさまざまな人と協力してイベントを作り上げたことや、粘り強くやり遂げられたことは大きな自信となり、「今後も新しいことに貪欲に挑戦していきたい」と力強く語った。

PROFILE

髙池 遼さん

長野日本大学高等学校(長野県)卒業。牧田義也助教授のゼミに所属し、東南アジアの歴史やビジネスについて研究している。中学生の頃、中国でホームステイをした経験から、外国語でのコミュニケーションに興味を持ち、英語とインドネシア語のスピーチコンテストにも参加。趣味は旅行。

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