最愛の先輩の存在

大学一回生のとき、引退試合だった相撲部の3つ上の先輩と、二回戦で対戦できるチャンスがあった今さん。だが、一回戦で敗退してしまい、先輩と対戦する資格すら自分にはないと落ち込んでいた。そのとき先輩が「これからの重量級を頼むよ、日和なら大丈夫」と声をかけてくれたことが今も忘れられないという。今年7月に行われる「第13回世界相撲女子選手権大会」の出場が決まった時には、最初にその先輩に報告した。「日和は強いから自分を信じてかんばって!」という先輩からの激励の言葉を胸に、「自分が小学一年生から磨き続けてきた押し相撲を出し切りたいです」と世界の舞台へ意気込む。

相撲と向き合い続ける日々

試合で結果を出し続けているが、昔に負った怪我は今も完治していない。怪我が弱みにならないよう筋肉を鍛えることで体を守り、力負けしない体を自分でつくりあげている。練習では稽古の内容(四股100回、すり足約20本、一丁押し、取り組み、ぶつかり、腕立て等)の他に、理学療法士による科学的なトレーニングも取り入れ、「なぜその練習をしているのかをちゃんと考えています。やれと言われたからやるのではない。自分は何を何回やればちょうど良いのかまで考えて、練習に取り組んでいます」と語る。

緊張感を持つことで100%の力が出せるという今さん。最近は、試合で緊張しにくくなったことが課題だという。今年の5月の大会では、気持ちを高めきれず、同じ青森の中学生に敗戦し苦い思いをした。このとき「このままだったら胸を張って青森へ帰れない。メダルをぶら下げて青森へ帰りたい」と強く思ったという。「(青森の)後輩が強かったのも確かだけれど、こんな気持ちのままではいけないということを後輩が教えてくれたんだと思います」と、試合本番で自分の気持ちを高められるような練習や、スポーツ心理学を学び、次の大舞台に備えたいと語る。

生涯をかけて相撲をオリンピック競技にしたい

相撲との出会いは小学一年生。三つ上のお兄さんの試合を見た今さんは、優勝旗を持つお兄さんに憧れ相撲を始めた。初めは、痛いしきついし毎日辞めたいと思っていた相撲。進路を考える際、勉強に専念し進学校に行こうとも思ったこともあるが、女子相撲の競技人口が少ない状況の中、今日まで相撲を続けられたのは、スポーツができることへの感謝の気持ちが根底にあったからだという。「世界には、スポーツが出来ない環境で育つ子どもが沢山います。でも、相撲ならお金をかけなくても出来ます。自分が相撲を教えに行くことで相撲人口を増やしたいし、それにはただの相撲経験者よりも、世界チャンプが教えるほうが現地の人は喜んでくれると思います」と熱く想いを語る。

小学生に相撲を教えるボランティア活動にも参加し、将来は発展途上国のアフリカで相撲を教えるために、現地で使うフランス語の勉強や、相撲で国際協力をするという観点からゼミで開発経済を学ぶなどし、学業についても意欲的に取り組んでいる。夢は、「生涯をかけて相撲をオリンピック競技にすること」。その夢を叶えるためにも、今さんはこれからも相撲と向き合い続ける。

PROFILE

今 日和さん

鰺ヶ沢高等学校(青森県)卒業。相撲部所属。Student Success Programでピア・サポーターの活動も行っている。国際関係学部では、嶋田晴行教授のゼミで開発経済を学ぶ。プリンと日本酒とラーメンが好き。


2018年度の成績
2018.4.15 第6回国際女子相撲選抜堺大会  重量級準優勝、無差別級優勝、団体準優勝
2018.5.13 第19回全国選抜女子相撲大会  重量級優勝
2018.6.10 第4回全国女子相撲選抜ひめじ大会  重量級優勝、無差別級優勝

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