2018年5月20日、「関西学生春季リーグ」近畿大学戦で関西学生野球連盟史上、28人目となるリーグ通算100安打を達成した辰己さん。チームは4季ぶりのリーグ優勝で、「全日本大学野球選手権大会」への出場権を獲得。「今シーズンに100安打達成したいという思いがあったので、嬉しかったです。それ以上に、優勝できたことの方が喜びは大きかったです」。主将として、チームを率いてきた彼には最高の試合となった。

日本代表として培った経験

大学1回生の春リーグからレギュラーとして試合に出場し、2回生では大学日本代表に選出。入学時に描いていた「大学2回生までに大学日本代表になる」という一つの目標が実現し、嬉しかったと話す。2016年の「日米大学野球選手権」では、バックスクリーンへのホームランを打ち、世界の舞台でもその力を発揮。3回生時にも大学日本代表としてトップレベルの選手とプレーし、成長の糧としてきた。

3回生までは、自分の力を過信したり、プレーについて考えすぎてしまったり、思うような結果がでず伸び悩んでいたこともあった。そんなとき、社会人野球のコーチを務める野球部OBに「お前は何も考えずにやるのが一番いい」といわれ、小学生の頃のように無心で楽しむことを意識するように。今では「自分の力を出すだけ」その思いで打席に立つ。それからは、自身も納得のいくプレーができるようになり、結果もついてきた。だが、「自分が目標としていた最低ラインの結果を出せるようになっただけです」とまだまだ満足してはいない。

チーム一丸となって臨んだ全国の舞台

今年の関西学生春季リーグでは、打率4割2分9厘の成績で初めて最優秀選手にも選ばれた。2、3回生のときはベストナイン賞を受賞していたものの、念願の最優秀選手という勲章に喜びをかみしめた。6月、日本一を目指して臨んだ「全日本大学野球選手権大会」では2回戦で敗退という結果に終り、「他のチームとの力の差はあまりないんです。日本一になれたのに」と悔しさをみせるが、「秋の大会こそは」とすでに次のシーズンを見据えている。

主将としての決意

2017年の冬に主将となり、「人として、長けたものがあるわけではないが、自分にはこれまで培ってきた経験がある。自分の背中やプレーで引っ張っていける主将になろう」と決意した。チームは約140人もの部員が所属し、チームをまとめていくことは難しい。いかに楽しく練習に取り組めるかを考え、声かけも工夫している。部員は、野球が好きな人ばかりで自身も野球が大好きだ、と話す辰己さん。野球ができること、親や監督、ついてきてくれるチームのメンバーへの感謝の気持ちをいつも持ち続けているという。

目指すのは大学日本一、そしてプロの世界へ

残すは秋のシーズンのみとなり、キャプテンとして「チームをもう一度全国に連れて行き、日本一に導きたい」との強い思いを持っている。そして、もうひとつの目標は「プロの世界に入ることです。ドラフトで1位指名を受けられるように、これからさらに努力を積み重ねていきたいです」と語る。さらなる大舞台を目指し、彼の挑戦はこれからも続く。

PROFILE

辰己涼介さん

兵庫県立社高等学校(兵庫県)卒業。松島剛史准教授のゼミに所属し、スポーツ選手が病気とどのように関っていくのかをテーマに研究予定。プロ野球選手に憧れ、小学1年生から野球を始める。2016年、2017年、大学日本代表に選出。今年は、大学日本代表の主将に選出され、7月にアメリカで行われる「日米大学野球選手権大会」に出場する予定。食事に気を配り、睡眠を十分にとることでリフレッシュする。

最近の記事