学生書道のグランプリを決める、「全日本高校・大学生書道展(以下:高大展)」が開催され、立命館大学から大賞3作品を含め60点以上の作品が入賞を果たし、団体の部で初の最優秀校に選出された。高大展は、全国の高校・大学生から1万点を超える作品が出展され、個人の部では、大賞・展賞・優秀賞が選出される。その個人成績の合計がもっとも高い大学が、団体の部で最優秀校に選出される。書道部の代表として、後輩の指導にも力をいれ、高大展でも2作品が展賞、優秀賞を獲得した中田さんに喜びの声を聞いた。

新たな書道の世界との出会い

中田さんが、初めて筆を握ったのは小学生のとき。高校までずっと続けてきた習字を大学でも生かせればと思い、書道部に入部した。立命館大学の書道部は、約30cmの小さい紙から2m以上ある大きな紙に字の形、墨のにじみ具合やかすれ具合、空間のバランスに趣向を凝らすもので、それまで主に楷書を半紙にきれいに書く習字を続けてきた中田さんは、その魅力に引き込まれていった。高大展の前には休日は一日中紙と向き合い、一つの作品を作り上げるために200枚以上書いたと話す。書く際には、どのように書いたらいいのか考え、部員と意見を交わすこともある。「書いているときの気持ちはそのまま文字に表れます。気持ちが乗っているときに書くほうがいい字が書けます」というように、自分が書きたいように書けないときもあるが、そのときは、無心になって書いたり、気分転換をするという。「自分のイメージ通りに書けないことのほうが多いです。だからこそ、イメージどおりに書けたときの嬉しさや達成感があります」と笑顔を見せる。

代表としての決意

中田さんが代表に就任したのは、2017年12月。懸命に活動に取り組み、書道部が受け継いできた技術など細かく指導してくれる先輩の姿に憧れ、自分もそんな部員になりたい、と代表に立候補した。就任当初は、伝統や高大展では近年徐々に順位を上げていたことから、プレッシャーも感じていたという。結果を残すためには、自分が努力することはもちろんだが、後輩たちへ自分たちが受け継いできたことを引き継いでいくことが一番大切だと思い、後輩への指導に力を注いできた。後輩のほとんどが、中田さんと同じように習字の経験はあるものの、書道は未経験だったため、書道のいろはを教えたり、どのように書いたらいいか悩む部員には、一緒に考えアドバイスすることもあった。

伝統を受け継ぎ、獲得した栄冠

書道部にとって、一番の目標としてきた高大展で最優秀校に選出され、「驚きばかりで、信じられない思いと、指導してくださった先生やさまざな方からの支援に感謝の気持ちでいっぱいでした」と振り返る中田さん。授賞式では、「来年に向かって頑張っていこう」と気が引き締まる思いだったという。「個人としては、書道への見識をより深め、来年の高大展での大賞受賞を目指します。書道部では、学園祭や地域の祭りなどで書道パフォーマンスを行い、書道の魅力を発信していきたいです」と今後の目標を語った。

PROFILE

中田和也さん

大阪府立寝屋川高等学校(大阪府)卒業。小学校から高校までは、サッカー部に所属。IT関係に興味を持ち、研究する予定。2017年の高大展では、2作品で優秀賞の成績を収める。

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