時速約230キロのスピードで、サーキットを走り抜け、コンマ1秒を競う世界でレーシングドライバーとして活躍する太田さん。SRS(鈴鹿サーキットコチラレーシング)※1の選考会を経て、今シーズンFIA-F4選手権※2に出場している。鈴鹿サーキットで開催された第3大会(第5戦、第6戦)では、2戦連続ポールポジション※3を獲得し、優勝を勝ち取った。「日常生活では感じられないような速度で、ぎりぎりのタイムを競う。それで勝つのが楽しいです」とその魅力を語ってくれた。

※1モータースポーツ界で活躍する若手ドライバーの発掘やステップアップを目的に展開されている
※2将来のトップドライバーを目指す若手ドライバーが競い合うジュニア・フォーミュラレース。全7大会14戦のシリーズで全国各地のサーキットで開催される
※3予選でトップのタイムを出し、トップでスタートできること

ドライバー人生をかけた挑戦

太田さんは、3歳からレースを始め、プロのドライバーを目指してきた。しかし、レース界の頂点であるF1を目指すことは、簡単ではない。個人でレースに出場するには、経済的にも大きな負担がかかる競技で、F4からF3、F2、F1と上を目指していくには、自動車メーカー直属の育成チーム※4に所属しなければ難しいからだ。2018年、約1年間を通して行われるSRS(鈴鹿サーキットコチラレーシング)の選考会に参加。その選考会で認められなければプロのドライバーを目指すことを辞めようと考えていたという。小さな頃から続けてきて、人生の一部のようになっているものが、なくなることへの恐怖と、今頑張らなければ後悔する、その思いで、懸命に戦い続けた。選考会を経て、F4に参加できることが決まった太田さんは、「これまでのレース人生で一番頑張った1年間」と振り返り、「喜びと同時にゴールであり、スタート。結果を出していかなければならないので、やるしかない」と思いを強くしたという。

※4現在は、HondaのみがF1に出場している

プレッシャーを抱えて臨んだ本拠地での大会

FIA-F4選手権の第1、第2大会では、速さはあるのに気持ちが空回りし、思うような結果を出せなかった。鈴鹿での第3大会は、前半戦最後の大会であり、流れを変えるチャンスだったという。鈴鹿は、チームの本拠地でもあり、世界に誇れる日本のサーキットで太田さんにとっても特別な場所だ。その分、プレッシャーも大きかったが、徹底的に準備をすることで自信をつけていった。「チームや車を整備してくれるメカニックとのコミュニケーションをしっかりとり、走りの分析やレースシュミレーションなど、できる準備を徹底的にやりました」と話すとおり、その徹底した準備が、2戦連続のポールポジション獲得と、2連勝につながった。「父やスポンサーなど多くの方が応援してくれた鈴鹿で、勝てたことはとても嬉しかったです」喜びを語る。

彼の強みは、速度やハンドルの切れ角、ブレーキの踏力など、さまざまなデータをパソコンで細かく分析できること。その分析を次に生かすことでより強くなれるのだという。今後は、「調子が良くても、悪くても自分の最大限の力を発揮するために気持ちのコントロールもうまくやっていきたい」と自身の課題も見つめている。現在のFIA-F4選手権ランキングは2位。8月3日から、第4大会が開催されるが、「チャンピオンを獲るためには、勝負するしかない。貪欲にやっていきたいです」と気合は十分だ。「今年、チャンピオンを獲って、ヨーロッパのF3へそして、いつかF1に乗ること」と力強く目標を語る太田さん。厳しい世界に身をおく彼の挑戦はこれからも続いていく。

PROFILE

太田格之進さん

小学校から立命館に通い、立命館高等学校(京都府)を卒業。SRSコチラレーシング所属。大学では、法学部での講義だけでなく、「オナーズプログラム(国際社会で活躍する人材養成特別プログラム)」に参加。岡本行夫客員教授、宮家邦彦客員教授の指導の下、多角的な学びや考える力を養う。最近では、多くの知識や教養を身につけようと、読書に熱中している。

最近の記事