「ラスト1周、強みであるスピードを生かして、ようやくイメージ通りの走りができた」と、清々しい笑顔で喜びを語ってくれた佐藤さんは、2019年9月「天皇賜盃第88回日本学生陸上競技対校選手権(以下、日本インカレ)」の5000m、10000mで初優勝を果たした。これまでのレースでは、ラストは疲れ果て、スピードを生かせずに悩んでいた佐藤さんにとって、納得いく走りで優勝を飾ることができた日本インカレは、学生生活で最も思い出に残る大会となった。今シーズン、長距離パート主将として全力で駆け抜ける彼女に、今の思いを聞いた。

プレッシャーとの闘いに打ち勝つ

エースとして、主将として、常にプレッシャーを背負ってきた佐藤さん。時には、そのプレッシャーに押しつぶされ、逃げ出したくなったこともあったという。覚悟を決めて主将に立候補したが、主将になることが決まってから、結果が出せず、発言や行動でも思うように自分を変えることができなかった。2018年の秋には、「主将になるのに、自分がその役目を果たせていないことが苦しかった。どのようにチームを引っ張っていけばいいのかわからずに、悩んでいた」と振り返る。しかし、親に話を聞いてもらい、練習に打ち込むうちに「今ここで逃げたら、自分が背負ってつらかったものを他のメンバーに押しつけて逃げることになる。このままではだめだ」と冷静になり、立ち直ることができたという。それからは、「練習にもより身が入り、自分に必要な練習を積極的に取り入れ、発言することも増えた」とその変化を語る。

4回生としての責務を果たす

日本インカレでは、1日目に10000m、3日目に5000mが開催された。日本インカレでの2種目のエントリーは、佐藤さんにとって初めてのことだった。5000mに注力したいと考えていた佐藤さんは、コーチから2種目のエントリーを聞いて戸惑いもあった。しかし、「チームに1点でも多く貢献することが、4回生としての役目。2種目の出場で5000mが狙えなくなる、という考えは自分の甘え」と、覚悟を決め、スタミナをつけるために練習方法を変えた。日本インカレ前は、10月の「全日本大学女子駅伝対校選手権大会」、12月の「全日本大学女子選抜駅伝競走」に向け、「自分が勝つことでチームに自信をつけたい。コーチの期待に応え、恩返しをしたい」と、強い思いで臨んだという。

初日の10000mでは、「1つでも上位を狙いながら、最後のスパートでは、絶対優勝するんだ、という思いで走った。ずっと苦手だったラストの勝負で勝つことができ、5000mには、自信をもって臨むことができた」と振り返る。5000mの優勝が決まり感じたのは、「嬉しさと、やり遂げられたという安心感だった」という。日本インカレで女子陸上競技部は、総合2位の結果を残し、長距離パートは、いよいよ駅伝シーズンを迎える。「学生としてチャレンジできるのは最後。後悔のないように、日本一に向けて全力で臨みたい」と話す。

これからもランナーとして“走り続ける”

卒業後は、実業団で陸上を続けていくことを決めた彼女。陸上を続けるかどうか、とても悩んだというが、「これまで勝ちたいという思いで続けてきた。陸上への未練もあり、まだ勝てるかもしれない。もっとできるのではないか」と腹をくくり、走り続けることを決めた。「いつか日の丸をつけて、走りたい」という次のステップでの大きな目標を胸に、彼女の陸上人生はこれからも続いていく。

PROFILE

佐藤成葉さん

神奈川県立荏田高等学校卒業。趣味は、ショッピングやご朱印集め。中学から陸上を始める。主将として、常に前向きで明るくチームを引っ張ることを心がけている。目指すのは、感謝の気持ちと心の強さをもつ勝負強い選手。


<2019年度競技成績>
5月 第96回関西学生陸上競技対校選手権大会 5000m  16:00.65 優勝
                     10000m 33:45.64 2位
9月 天皇賜盃第88回日本学生陸上競技対校選手権 5000m  15:47.07 優勝
                      10000m 33:24.98 優勝

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