初出場で掴んだ栄冠

2019年10月に行われた第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」(以下、国体)フェンシング男子団体エペ※1、三重県対茨城県の決勝戦。1勝1敗で最後の一戦を任された三重県選抜のウェディシンハさんは「楽しんで勝つことしか頭になかった」と、その緊迫した状況に臆することなく臨んだ。結果は5-1、ウェディシンハさんの勝利で茨城選抜を破り優勝を手にした。「優勝できるとは思っていなかったし、優勝してもなかなか実感が沸かなかった」と喜びの瞬間を振り返った。

※1 種目の1つで、全身が有効面となり、剣で先に突いた方にポイントが入る

勝ち負けは自分で背負いたい

高校入学後、フェンシング部に入部したが、学業とアルバイトもあり、始めた頃は本格的に部活動に打ち込むつもりはなかった。しかし、大学生の先輩が、高校でフェンシングを教えてくれる姿をみているうちに、大学でフェンシングをしたいと強く思うようになったという。大学入学後は、得意だったエペをメインに取り組んでいる。全身が有効面であるエペは、狙う場所が多い分、気を抜けない状況が続き、相手の細かな所作がプレーに関わってくる。「エペは、一つずつ組み立ていくような、論理的な思考が必要になる、それが面白い」と、魅力を語る。

がむしゃらに打ち込んだ1年間

1回生の頃は、関西学生フェンシング選手権大会(以下、関西インカレ)でベスト16入りしたものの、試合内容は納得のいくものではなく、フェンシングに取り組む姿勢も不十分だったという。関西リーグで2部に降格したことをきっかけに、「一人ひとりが頑張らなければ」と、部内の意識が高まった。ウェディシンハさんも、2回生になり「この1年は何があろうと、死に物狂いで頑張ろう」と覚悟を決め、技術を磨くためにエペのコーチと二人三脚で練習に励んだ。時には、強豪が多い関東の大学で練習に参加させてもらい、面識のない選手にも積極的にアドバイスをもらった。監督に掛け合ってもらい、日本代表の練習に代表選手の練習相手として、参加したこともあったという。その後、U-20日本代表の大会でベスト8に入るなど、頭角を現し、2018年8月のジュニア日本代表の海外遠征メンバーに選出された。海外の選手との対戦やジュニア日本代表選手との練習の機会は、貪欲に学ぼうとするウェディシンハさんにとってさらなる成長につながった。2019年1月の「ジュニアワールドカップ」では、優勝を果たし、それまでの努力が実を結んだ。「図々しく、いろいろな人にアドバイスを求めたり練習について尋ねたり、関わりを持ったことが成長につながった。みんな優しく対応してくれた」と笑顔を見せる。

楽しむことの大切さを

国体では、三重県選抜の予選を経て、初の出場権を獲得。2人の選手と共に3人で4日間を戦った。「チームの雰囲気がとてもよく、チームワークで勝つことができたと思う」と振り返る。会場は、和気あいあいとした雰囲気で、有名な選手も多く選手間の交流やいろいろな選手のプレーを見ることができたという。「勝ちだけにこだわらず、楽しく全力で取り組むことの大切さを感じ、これまで見えていなかったものが見えた」とフェンシングへの思いに変化をもたらした。

フレンチ※2を使い、手の長さを生かして、細かい箇所を突くスタイルを強みとするウェディシンハさん。「来年は、4回生としてフェンシング部を引っ張っていく存在になるため、今までよりも気を引き締めて部員の模範となるように頑張りたい。個人では、2020年の全日本選手権でベスト8、全日本学生フェンシング選手権大会(インカレ)では優勝を目指す」と来年への決意を語った。強い向上心を持つ彼の今後の活躍が楽しみでならない。

※2 剣の種類。ベルギーとフレンチの2種があり、ベルギーよりも長さがある

PROFILE

ウェディシンハ・ジュンさん

エスコラピオス学園海星高等学校(三重県)卒業。体育会フェンシング部主将。アニメ、漫画、映画、ゲームが好きで、最近では、ロードバイクを楽しんでいる。スリランカ在住時は、モトクロスに取り組む。



<2019年の大会成績>
1月  ジュニアワールドカップ ジュニア男子エペ 優勝
1月  JOCジュニアオリンピックカップ
9月  全日本選手権大会 個人 36位
10月  第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」男子団体エペ 三重県選抜 優勝
10月  第69回関西学生フェンシング選手権大会 個人エペ2位
11月  全日本学生フェンシング選手権大会 個人エペ3位

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