「たくさんの在留外国人が働くこの日本で、労働移住者はどのような困難を抱え、何を感じているのか。そして、労働移住者を受け入れる日本社会にはどのような懸念点があるのか。現場の声を明らかにし、お互いが向き合うことが大切です」そう話すのは、国際関係研究科で労働移民問題について研究を進めるYusy Widarahestyさん。2019年11月、彼女は自身と同じように労働移民問題の課題解決に取り組む若手研究者たちを集め、意見交換を行う「東南アジア労働移民ワークショップ」を衣笠キャンパスで開催した。“お互いが住みやすい社会”へと、労働状況を改善していくための目標を語ってくれた。

外国人労働者と日本社会の課題を明確にする

近年、日本には多くの在留外国人が働いているが、反合法的に働く労働者の増加や、日本語教育環境の不足、在留外国人に対する人権侵害や差別など、労働移住者と日本の労働状況の間にはさまざまな問題がある。人手不足による外国人労働者の受け入れ拡大が進み法改正も行われている一方で、労働移住者に対する十分な政策や配慮はまだ不足しており、「労働移住者自身も、彼らが抱える問題の解決方法を知りません」と話すYusyさん。高校生の頃、父親の影響で日本語を学び始めたのがきっかけで、日本と他国との国際関係に興味を抱き、労働移民問題を研究するため母国インドネシアから国際関係研究学科へ進学した。研究を進めていくなかで「労働移住者が抱える悩み」と「日本社会側からの視点」この双方の課題を知るうちに、課題解決には労働者と日本社会の相互理解が重要であると実感したという。そこで同じ分野で研究を進める研究者同士の発表の場を設け、相互理解に繋げるきっかけとするワークショップを企画した。

それぞれの思いを尊重し、研究を深める

ワークショップでは、彼女を含め、日本で労働移民問題について研究する立命館大学の学生や卒業生、他大学の研究者や移民支援の現場で働く実務家など5人の研究者発表会が行われた。発表者の選定や企画の運営、広報活動などすべて彼女が中心となって行い、企画を有意義なものにするため発表者同士で事前の打ち合わせにも時間をかけてきたという。聴講者には大学院生や留学生が参加し、発表者への質疑応答や全体でディスカッションを通して意見を深めあった。労働移民問題に対する参加者の認知を促すだけではなく、同じ課題解決に向けて活動する研究者たちの情報共有にも繋がり「研究者同士が互いに意見し、各々の研究を高め合えたことで、自分たちの課題や新しい可能性を見つけることができました」と力強く話してくれた。

より良い社会を目指して活動する

「異なる立場からお互いが学び合い、それぞれが行動を起すことができれば、日本社会に新たな視点を生むことができる」と話す彼女。ワークショップを終えて、「今後はアジアだけに限らず地域を広げ研究していくことで、困難を抱える労働移住者や日本社会に対して課題解決のきっかけを示していきたい」と語ってくれた。来年、大学院修了後はインドネシアへ帰国し、留学前に働いていた大学で講師に戻り研究を続けるという。「書くだけの研究をするのではなく、支援を必要としている人々のために常に解決策を探し、行動を起こす“活動家”として取り組んでいきます。私はただ、“お互いに住みやすい社会”をつくりたい」そう語る彼女は、誰もが希望の抱ける社会を目指して活動を進めていく。

PROFILE

Yusy Widarahestyさん

インドネシア大学(修士課程)卒業。インドネシアのアル・アズハル・インドネシア大学で教師として働いており、現在は研究休暇中。多くの国際関係学部の卒業生がインドネシアで活躍している影響で、大学院入学は迷いなく立命館大学に即決した。

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