2020年6月、「ロボカップ」に新設された@ホームエデュケーションリーグの大会「RoboCup @Home Education Online Challenge 2020」において、オープンプラットフォームのオープン部門に出場し、ブロンズアワード(3位)を受賞した情報理工学部プロジェクト団体「Ri-one」。今年は新型コロナウイルスの影響で、ロボカップ初のオンライン開催となった。団体長の小川さんと本大会でチームリーダーを務めた廣瀬さんに、大会に臨むまでの活動や現在の心境を聞いた。

※ ロボットに人間の生活環境を支援する人工知能(AI)を実装させ、性能の正確さを競う教育イニシアティブの競技

ロボカップは世界中の情報学研究者や工学研究者が集う、人工知能(AI)とロボットを組み合わせた世界最大規模の大会。Ri-oneはそのロボカップで参加する4つのリーグ「レスキュシミュレーションリーグ」、「2Dサッカーシミュレーションリーグ」「スモールサイズリーグ」「@ホームエデュケーションリーグ」ごとにチームを構成し、約50人の学生が日々活動している。 2020年3月、新型コロナウイルスの影響で、ロボカップは全リーグで翌年への延期が決定。どのチームもほぼ準備万全の状態だったため、大会に向けて寝る間も惜しんで準備してきたメンバーは、戸惑い、落胆した。しかし、唯一@ホームエデュケーションリーグで、6月のオンライン開催が決定。出場メンバーの3回生4人は、Ri-one全員の思いを背負い、例年とは異なる緊張感を持ちながら、より一層、大会に向けて各自の自宅で準備に努めた。

大会で使用するロボットは、廣瀬さんの自宅に一つだけ。メンバーおのおのが、ロボットの精度を高めるために、自宅でプログラミングデータを改善し、ロボットで実証実験を続けた。一つの工程を変更するたびにバグが発生し、修復の繰り返し。ロボット制作に“完全なゴール”が無いために、一心不乱に向き合った。完成したロボットは、レストランの従業員が遠隔操作で接客できるロボット。大会では、実用性を高く評価され、見事3位を受賞した。

廣瀬さんは「先輩のこれまでの大会結果をプレッシャーに感じながらも、Ri-one全員の思いを背負って臨んだ大会で結果を残すことができ嬉しい」と語る。また、小川さんは「延期になったチームも含め、Ri-oneが一丸となったからこそ、コロナ禍でも活動を続けることができた」と現在の心境を語る。それぞれリーダーとして、Ri-oneに対する熱い思いが感じられた。

小川さん、廣瀬さんはじめ、大学からプログラミングを始めるメンバーが多いというRi-one。一からプログラミングについて勉強し、1000行以上あるコードを説明できるように、頭の中でイメージしながらプログラミング開発を重ねる。小川さんはその過程で問題解決力、廣瀬さんは最後までやり遂げる力が身に付いたという。今後の意気込みについて、「今年はRi-oneとして1年間頑張ってきた成果を何か形に残していきたい」、「来年以降も世界大会で結果を残し続けられるように、活動を絶やさないように継承していきたい」と2人は力強く語ってくれた。Ri-oneは、“Ri-one”の名を今後も継承し続けるために、それぞれの活動や思いを積み重ね、目標に向かって歩み続ける。

PROFILE

小川貴史さん

鶯谷高等学校(岐阜県)卒業。趣味は音楽とゲーム。AIに興味があり、情報理工学部に入学。Ri-oneには、代々世界大会に出場していることに憧れて入部した。小さい頃からリーダーをするのが好きで、Ri-oneでも15期生の団体長となる。2020年秋からは研究室に配属し、ソフトウェアを設計するための研究へ意欲を固める。

廣瀬千大さん

岡崎北高等学校(愛知県)卒業。休日にアコースティックギターを弾くことが最近の趣味。小学校から自立して動くロボット“ドラえもん”に興味を持ったことがきっかけとなり、理工学部ロボティクス学科へ入学、Ri-oneに入部。Ri-oneでの経験を生かし、研究室配属後はロボット開発に関わる研究に取り組みたいと考えている。

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