2015年12月、立命館大学生のよりよい生活の実現に向けて活動する生協学生委員会の橋本さんらが、びわこ・くさつキャンパス(以下BKC)の学生の自転車事故防止のため、「安心安全マップ」を制作した。このマップでは、多くの学生が自転車で走行する南草津駅からBKCにおいて、「道が狭い」「暗い」「見通しが悪い」「坂」「交通量が多い」などと学生が感じた危険なポイントをマップ上で確認できる。

これまで生協学生委員会は、自転車無料点検会の実施、通学の危険場所を知らせるポスターの掲示など事故防止の啓発活動に取組んできた。しかし、ポスターでは「見る人が限られてしまう」といった委員会内の声から、橋本さんらマップ制作を担当した4人は誰でも簡単に地図を確認できるように、2014年秋からWEB版のマップ制作を始めた。

“見やすさ” “使いやすさ”、そして“親しみやすさ”を追及

WEB版のマップは、新たに学生から集約した約180箇所の危険ポイントをもとにしている。サイトのシステムは、地理情報システムなどを専門に研究する立命館大学理工学部環境システム工学科の笹谷康之准教授や、オープンデーターを活用した事業を展開する企業と連携した。橋本さんは、学生が白地図上で印した「危険だと思う場所」の住所の特定や、交差点名の確認、写真などを集め、笹谷准教授や企業の方の指導の下、専用ソフトへ入力していった。一目で危険な場所、要素がわかるよう見やすさや使いやすさを意識したり、親しみをもってもらうため、アイコンのデザインには最後までこだわったという。また、土地勘がない新入生のために、ストリートビューやオープンストリートマップ(簡略化した地図)など、さまざまな種類の地図で使えるようにした。

システム系の知識がなかった橋本さんは、知識を吸収するのに時間がかかったものの、理工学部の授業を受講したり、教授に個別の指導を仰ぐなど自ら技術を磨いていった。「他学部の専門的な授業を受けて、地図に生かせる発見があったり、“もっと学んでみたい”という意欲がわきました。また、学んだことが形になったので、今まで味わったことのなかった“ものづくりのおもしろさ”にも気づきました。」

「周りの力」も活かし、「学生の力」も活かす

橋本さんは、決して容易にはいかなかったマップ制作を通じて、学生にできることの限界や、自身の力の限界を知った。その一方で大学の先生や外部の方から協力を得ることで、学生の力も活かせる部分がたくさんあることを実感した。苦悩や苦労があってもやり遂げたことで気づいたと同時に、やり遂げる大切さも学んだ。 現在では10大学が同システムでマップを制作するなど、BKC生協学生委員会の取り組みが全国の大学に広まっている。マップとして形になった、「安心・安全な学生生活を送ってほしい」という橋本さんらの思い。今後は新たなメンバーと共にバイク版のマップや災害時のハザードマップをつくっていく予定だ。

立命館生協 安心・安全マップ

http://coop.275map.com/safe_bicycle_map

PROFILE

橋本拓磨さん

西南学院高等学校(福岡県)卒業。
2015年4月~生協学生委員会BKC代表。2015年5月~立命館生協学生理事。経済学部では、我妻伸彦教授のゼミに所属し環境経済学を学んでいる。

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