※この記事は2020年4月に公開予定していた内容を加筆編集したものです

2019年4月から約1年間、開講期間中の金曜日、びわこ・くさつキャンパスにあるBBPのカフェスペースでは、日本人学生や留学生が集まって、紅茶やお菓子を手に賑やかに交流する姿があった。主催しているのは、「つなげる、つながる憩いの場の創出」をテーマにカフェを開催する学生有志団体「国際交流BBPカフェ」。立ち上げた牧島さんは、約1年間カフェを続けてきたことで、多くの学生の繋がりが生まれたと笑顔で語った。そして、地域のイベントでもカフェを開催するなど交流の場を広げている。

※Beyond Borders Plaza 国際交流や言語学習を中心としたグローバルコモンズ

紅茶をコミュニケーションツールに

大学2回生でイギリスへ留学し、日本では、国際交流の機会が圧倒的に少ないことに気がついたという。「普段は接点のない人との交流の場を増やしたい。小規模でも定期的なイベントを作れば結束して盛り上げられるのでは」と考え、3回生の2019年4月から毎週金曜日の午後、一人で無料の紅茶とお菓子を用意してカフェを始めた。紅茶は、種類も豊富で多くの楽しみ方があることを知り、「初対面の人と交流する際に、紅茶が会話のきっかけになる」と、毎週異なる種類の紅茶を提供することにこだわった。広報活動にも力を入れ、チラシの作成や教員への広報の依頼、SNSやホームページの運用も始めた。時には、留学生交流イベントや昼休みのセントラルアークでプレゼンするなど、さまざまな方法で広報を展開した。当初は、4人ほどの参加者だったが、徐々に参加する学生も増え、1カ月後には、トリリンガルの留学生と料理が得意な学生が運営メンバーに加わった。現在はメンバーも10人に増え、「活動の幅が広がりそうだ」と手ごたえを感じた。

2019年6月には、教員とのつながりをきっかけに、食マネジメント学部とのコラボ企画として、イギリス出身の教員にイングリッシュティーの淹れ方をレクチャーしてもらう企画を実施した。そのイベント以降、複数の学生団体ともコラボイベントを行い、イベント開催時は100人以上集まり、通常のカフェも30人ほどの学生や教員が参加するようになったという。「BBPを知らない人を巻き込んでこそ、意味があると思います。いかに多くの人に存在を知ってもらうか、常に意識しています」と現状に満足せず、さらに人の輪を広げようと努めている。

地域へ交流の場を広げて

2020年1月には、甲賀市で行われたイベント「都あかり」にカフェを出店し、カレーやクッキー、ほうじ茶などを提供した。卒業生がSNSを見て「参加してみないか」と声をかけてくれたことで実現したという。はじめはお客さんの人数も想像がつかず、材料の調達や、派遣メンバーの人数など、戸惑うことも多かったが、当日は多くのお客さんがカフェを訪れ、店長として大忙しだった。メンバーに指示をだしたり、地域の人と話をしたり、いつものカフェとは違う経験に刺激を受けた。「年齢層も違い、学生同士との関わり方とは違いますが、地域のみなさんも喜んでくれました。いろんな地域にでていきたいと思うようになり、考えの幅も広がりました」と話す。

カフェを通じて広がった人とのつながり

カフェを運営する上で大切にしているのは、「一方通行ではなく双方向のコミュニケーションをとる運営スタイル」だ。カフェに来てくれる留学生には母国の紅茶を提供してもらったり、料理好きの学生にはスナックを作ってもらっている。協力型のカフェにすることで、メンバーのような意識づくりも行っている。「カフェで出会った人や先生、職員とつながりができたことで、行動範囲が広がりました。毎週やっててよかったと思います」と楽しそうに振り返った。

しかし、2020年春から、新型コロナウイルス感染症の影響で、カフェでの交流は困難となった。10月中旬には、留学に行けなかったり、思うように交流もできずに歯がゆい思いをしている後輩のために、オンライン版カフェを企画しているという。「紅茶の味を共有することはできなくても、今の境遇や思いを各国言語で共有することで、少しでも刺激や希望を与えたいと思っています」と語った。彼が始めたカフェをきっかけに、これからも新たな人とのつながりが生まれることだろう。

PROFILE

牧島裕人さん

愛知県立昭和高等学校卒業。黒川清登教授のゼミに所属。ミャンマーでエコツーリズムについて学んだことから、「観光発展がミャンマー農村部に与える環境的、経済的、社会的、正のインパクト、負のインパクトまたそれに対する改善策」をテーマに研究を行う予定。趣味は、小学校から10年間続けた野球、大学から始めたストリートダンス。お勧めの紅茶は、スリランカのジョージスチュアートティーとイギリスのヨークシャーティー。

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