日本で初めて全日本学生サイクルサッカー選手権大会が実施されたのは1969年のこと。1974年には第7回大会が立命館大学で開催され、1984年の第17回大会では立命館チームが優勝したりと、サイクルサッカーは立命館とも関わりあるスポーツであった。

サイクルサッカーは、1チーム2人制の室内競技。ピストバイクというギアが固定されているブレーキがない自転車で、360度回転するハンドルを使い鋭いシュートを打ったり、素早いターンをする。競技時間は7分ハーフの合計14分。ルールはサッカーとほぼ同じだが、足をペダルから放すと反則となる競技だ。

迫力とスピードが兼ね備わったサイクルサッカー

清水さんは高校1年生のときサイクルサッカーに出会い、同時に心が惹かれた。「父に誘われ立命館大学びわこ・くさつキャンパス(以下BKC)で行われた練習を見学したのがきっかけでした。その後、鹿児島県で実施された世界選手権での海外選手の力強いプレーを見て、ますます魅了されました。自転車に乗ってボールを思い通りに操れる、こんな動きができたら楽しいだろうなと思ったんです」

大学入学後は、サイクルサッカー部に入部しようと決めていた清水さん。しかし十数年前から部の歴史が途絶え、事実上消滅していることを知ったという。今までやったことのないスポーツに挑戦したい気持ちに加え、父が学生時代に熱中していた競技で思い入れもひとしお。そこで諦めず、自分の手で復活させたいという気持ちがこみ上げてきたという。「昔は衣笠に専用コートもあったみたいですが、その後はなぜかBKCの体育館にサイクルサッカー用の自転車が残っていて。道具はある、あとは部員と練習場所を確保できれば成立すると思いました」。同級生にサイクルサッカーの魅力を伝え続け、その思いに賛同してくれた4人で、2013年に自転車競技部サイクルサッカー班をスタートさせた。

自転車を巧みに操る技を父やOBから学ぶ

立ち上げ当初は、先輩や経験者、指導者がいなくて何をどう練習すればいいのかわからなかった清水さんたち。「そんな時、経験者である父が毎回のように練習に参加して、指導してくれたんです」清水さんの父、清水英次さん(理工学部1985年卒)は、第17回大会で学生の頂点にたった立命館チームの選手だったという。「今では父の知人の方も練習に来てくれています。初心者だった僕たちにとってOBの方が先輩であり指導者、そして支えてくれている心強い存在です」。最初は週1回の練習だったが、今では週3回になり、大学内の体育会公認クラブにも昇格した。「活動している大学が少なく、ほとんどの選手が大学から始める競技。頑張り次第で結果がついてくるので楽しく練習に励んでいます」

夢は世界挑戦、子どもたちに憧れられる選手であり続けたい

マスターするまでは根気が必要で、途中で挫折してしまう部員も多いという。「部員のみんなには練習を重ね、上達過程にある面白みを見出して、楽しく継続的に競技をしてほしいと思っています。そして、多くの人に迫力とスピードを兼ね備えた面白さを知ってもらいたいです」。そのために最近は、積極的に地域交流しアピールしているという。「競技を見た子どもたちは目を輝かせて見入っていました。その子どもたちがこれからも興味を持ち続けるように、憧れられる選手になりたい。そしていつか世界にも挑戦してみたいです」と、今後の競技人口の増加に一役買いたいと夢を語ってくれた。

PROFILE

清水厚行さん

東山高等学校(京都府)卒業。中学では卓球部に所属、高校では友達同士でサッカーをするなど根っからのスポーツ好き。理工学部では構造力学を学ぶ。現在はパイレーツ(フットサルサークル)にも所属。父と同じ時間を過ごすようになりけんかも増えたが、父の偉大さを感じ日々を練習に励んでいる。

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