7月1日、複雑な大阪駅・梅田駅周辺の地下街において現在地の情報を取得し、目的地までの最短ルートを提示してくれるアプリ「うめちかナビ」がリリースされた。このアプリはその他にも、階段やエスカレーターなどの段差を回避するバリアフリーのルートを提示する機能、乗換駅の検索や現在地から近くのトイレを検索する機能も兼ね備えている。このアプリのAndroid版の開発を手がけたのが、ユビキタス環境研究室の坂本さんだ。

これまでの研究成果を生かすアプリ開発

「大阪駅・梅田駅周辺の地下街は複雑で、多くの人が行きかう場所を研究の題材にできるのは、面白いと思った」と研究室の西尾教授からアプリの開発の話を聞いた当時のことを振り返る坂本さん。これまでに自分で使うためのツールとしてさまざまなプログラムをつくることはあったが、人に使ってもらうことを前提としたアプリを開発したのは初めてだったという。

「うめちかナビ」は、もともとはブラウザで提供されており、地下街ではGPSの電波が届かないため、現在地の確認は壁に貼られたタグを使用していた。それが、ユビキタス環境研究室で研究されている測位技術により、スマートフォンのアプリで自分の現在地を取得することができるようになったのだ。

自分の開発したアプリが世界へ配信される瞬間

今年の2月、アプリ開発を始め、機能や画面構成などの検討や試作品を作り、修正を繰り返した。研究室のメンバーと連携をとり、研究室で測位をシミュレーションしたり、梅田の地下街で測位が正確に行われているか検証も行ったという。坂本さんが一番苦労したのが、初めて使う人が簡単に操作できるものにすることだったという。さらに、利用者が混乱しないようプログラムが停止することだけは避けたいと、試行錯誤を重ねたそうだ。

5カ月かけてついに完成したアプリが世界に配信された瞬間、やっとできたという達成感より、プログラムが停止したりしないだろうか、と不安な気持ちが大きかったという。実際に1つのアプリを開発したことを振り返り、「利用者の気持ちを考えながら開発することを学ぶことができた。しかし、まだまだこれで終わりではない」という坂本さん。「初めて梅田を訪れる人にも『このアプリをとっておくといいよ』と胸を張って言えるように『うめちかナビ』の精度をあげ、より完璧なものにしたい。そして、多くの人に使ってもらえる、便利なアプリやサービスをつくっていけるよう、これからも努力していきたい」と意気込みを語ってくれた。これから、坂本さんがどんなアプリやサービスを開発してくれるのか、期待したい。

PROFILE

坂本大輔さん

滋賀県立国際情報高等学校(滋賀県)卒業。 学部生のときは立命館コンピュータクラブに所属し、プログラミングや電子工作、ITと社会の関わりについて研究。現在は、大学院にて測位手法の研究に取り組んでいる。

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