新井さんは、2015年5月、外国語を学ぶためのプログラム「SUP! Language Exchange Program(以下SUP! LEP)」を立ち上げた。学内の日本の学生や留学生をマッチングさせ、1対1で外国語を互いに教え合い学ぶ環境を提供している。言語教育センターのもとで活動する学生コーディネーターによって運営され、2016年前期には235組ものペアが誕生し、登録者の出身地は20カ国以上にもおよんでいる。


留学先での多くの人との出会いが自分を変えてくれた

入学当初、国際経営学科では英語に触れる機会が多かったが、授業で馴れない英語を話すことが恥ずかしく、先生に質問さえできなかった新井さん。それでも英語を話せるようになりたい気持ちから、授業外の外国語学習プログラムに参加するも、流暢に英語を話す参加者がいると萎縮してしまい、うまく会話に参加できなかった。それでもなお、外国語を学べる今を無駄にしたくないと考え、8カ月間バンクーバーへ留学。留学先で、「SUP!LEP」のモデルとなる、1対1で外国語を学べるプログラムに出会った。「1対1だと恥ずかしいとはいっていられない。自ら積極的にしゃべるしかない環境だった」この経験から、「こんな学びの場が立命館には必要だ!」と感じたという。そして、留学中にさまざまな国の学生と関わり、自信を持って生きている姿に勇気づけられ、やりたいことを思い切ってやってみようという気持ちに拍車がかかった。

自分が行動することでまわりの人々を変えたい

帰国後、「外国語を学びたいが、恥ずかしくて話せない」という日本の学生、「日本の学生ともっと交流したい」と思っている留学生が多いことに気づく。この気づきから、「新しい外国語学習プログラムをつくり、大学の学びの場を変えたい」と考えはじめ、友人6人と学生組織を立ち上げた。しかし、学生からの信頼、大学内での普及や後々の展開を考え、大学の公式プログラムにする必要があると考え、大学の各部署に提案を行った。断られながらも交渉し続けた末、言語教育センターのもと公式プログラムとして実施されることとなった。

「SUP! LEP」では、テキストやゲームなどペアの思い思いのスタイルで学ぶことができる。新井さんを含む学生コーディネーターは、「学生自らが積極的に学ぼうとするためにはどうすればよいか」という点を重視し、パートナー間の会話のサポートやイベント開催、学びやすい雰囲気づくりと学びを継続させる仕組みづくりを追求している。毎週複数のペアが決まった時間に同じ部屋に集まって学び合うプランを用意し、また他の参加者とのつながりをつくることで、モチベーションを保つ工夫もしている。今後は、自身が早く海外に興味を持っていればよかったという心残りから、中学生や高校生にも外国語や留学生に触れる機会を広げたいと、さらなる展望を見据えている。


「言語はあくまでコミュニケーションをとるためのツールです。そこから生まれる人とのつながりを大切にし、そのつながりから得られる新たな考えや知識から自分を成長させるきっかけにしてほしい」と「SUP! LEP」への思いを語ってくれた新井さん。学生をはじめ多くの人たちが「SUP! LEP」で新しい自分や仲間と出会い、成長してくれることを期待したい。

PROFILE

新井健太さん

関西大倉高等学校(大阪府)卒業。 1回生からRIPP(立命館-茨木パートナーシッププロジェクト)に所属し、大学と茨木市の架け橋となり、まちづくりを勧めるため地域と大学の交流を行っている。 3回生では、学生組織「SUP!」を立ち上げて初代会長を務める傍ら、7カ月間、キャリアセンターの「グローバル人材養成プログラム」に参加し、多国籍なチームで企業から与えられた課題に取り組んだ。

最近の記事