立命館大学弓道部は、80年以上の歴史と関西随一の強さを誇る強豪校。この夏、開催された第64回全日本学生弓道選手権大会で、弓道部男子団体が6年ぶり3度目の優勝を果たした。チームを率い、自身も“落ち(最終者)”を務め優勝に大きく貢献した主将の石山さんは「監督や幹部の方のサポートを受けながら、学生主体のチーム一丸となり射止めた優勝です」と振り返る。



男子団体戦は、各校5人出場し1人4射、制限時間10分の間で36㎝星的を射距離28mから狙う。予選1日目の的中上位24校が、翌日の決勝進出となる。立命館は予選で20射皆中し、216校中トップで予選を通過。決勝トーナメントも順調に勝ち進み、決勝戦でも20射皆中する快挙を成し遂げ、堂々の優勝を飾った。また美しい技の大学に与えられる、射道優秀賞も受賞した。試合は、応援の声が飛び交うなど普段の練習やリーグ戦とは大きく異なる日本武道館で開催されたが「大舞台で本領発揮できたことはすごく誇らしい」という石山さん。

己を信じ、仲間を信じ、最高の射を引く

弓道は、和弓で矢を射て的にあてる一連の所作を通し、心身の鍛練をするものでもある。「的中しなければそれはすべて自分に起因する。原因を求めて反省し練習するだけ。個々の精神力の強さが求められる、最強の団体競技」と弓道の魅力を語る石山さん。その冷静な分析は、日々の稽古で心を修練し、どのような状況でも立命館の射を引ききることができる仲間たちを信じている証だろう。



2回生の時に全日本学生弓道王座決定戦(以下:王座決定戦)、3回生の時には全国大学弓道選抜大会の優勝を経験。順調に弓道生活を送ってきた石山さんだが、主将になって初めて出場した今春の全国大学弓道選抜大会1回戦、自分のミスで競射になり、その結果、敗北したことがすごく悔しかったと振り返る。その悔しさを糧に、今回優勝できたことは自信に繋がったという。

常に先頭を走り続け、選手として見本を見せてきた石山さん。立命館では、弓道の技術はもちろん、チーム作りなど学ぶことができ人間的に大きく成長したという。主将として心がけていることは、回生関係なく一選手として接すること。他の選手にも頼りながらチーム全体で「日本一になる」という目標に全精神を傾注してきた。「今回の優勝で王座決定戦へ出場するシード権は得ていますが、関西リーグで優勝し関西代表として王座決定戦に挑み、2大会連続で全国を制覇したい」

今回、20射皆中を成し遂げ優勝したことは、勝利のためのロジックと練習に基づいた結果だ。彼らは更なる飛躍を誓い、11月、伊勢神宮で実施される王座決定戦での優勝に向け、柊野の道場で日々練習に励んでいる。

PROFILE

石山遼河さん

東京農業大学第三高等学校(埼玉県)卒業。小学校、中学校と剣道に打ち込む。高校で全国大会を目指す弓道部に憧れ入部。しかし弓道に不向きな体型で習得するまで苦労する。大学進学後は、休日も自主練習するなど、夜遅くまで練習に明け暮れる毎日を送る。龍澤邦彦ゼミで国際関係文化について学ぶ。卒業後は関東で就職し、働きながら道場に入り国体を目指す予定。

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