6月のRoad To Spainチャレンジカップ関西大会で見事優勝し、9月にスペインで開催されたITFフューチャーズ大会に出場した瀧本さん。昨年この大会を知り、世界に挑戦したいという気持ちが芽生え挑んだという。この大会は、テニス専門サイト「tennis365.net」と、週刊少年マガジンで連載中のテニス漫画「ベイビーステップ」、そしてスペインのサバデルテニスクラブがタッグを組み、次代を担う15歳~22歳の若手テニスプレーヤーに海外(スペイン)でプレーをするチャンスを提供することを目的として開催された。



関西大会では順調に勝ち進み、迎えた決勝戦。今まで公式戦で勝ったことのない相手に1-6、6-3、6-4で勝利をもぎ取った。ファーストセットを相手に取られたことで、逆に力みがなくなり挑戦者の気持ちで戦えたという。また、それまで晴天に恵まれていたが決勝戦の直前、突然の雨に見舞われた。「苦手ではない雨が見方についてくれたのかも」と真っ黒に日焼けした顔に白い歯をのぞかせた。

いざスペインへ

日本代表として2人の選手が出場した今大会。日本とスペインの時差は7時間、普段とは異なる環境でのテニスに戸惑いを感じた。特に赤土のクレーコートでの試合は人生で2度目。スピードが土に吸収され、球足が遅くなりボールが取りやすくなる。海外の選手に比べてパワーがない日本人には不向きなコートだ。試合前の2日間はコートに慣れるための練習期間で、地元のコーチから指導を仰ぎ、海外選手を相手に練習できる二度とない機会だった。いろんな選手に積極的に話しかけ、ラリーできたことが大きな収穫だと振り返る。試合は、オランダの選手に6-7、0-6のストレートで敗戦。1セット目、先にブレイクしていたがサービスゲームをキープできず、フィジカル面での力の差を実感したという。世界レベルに触れ、海外選手に刺激を受けた瀧本さん。今後、この経験を生かして飛躍的なレベルアップをしたいと話してくれた。

未来のテニスプレーヤーのために知識・技術を還元

祖父と母の影響で小学校1年からテニススクールに通い、テニス中心の生活を送ってきた。中学では四国代表として全国大会にも出場、高校からは親元を離れ岡山へ。「あるコーチのもとでプレーしたい気持ちで決意しました。専門的な指導をしてもらうことで、自分のテニススタイルが確立しました」と振り返る。高校はテニスに没頭できる環境だったが、大学では学業にも時間を注がなければならず、自ずと練習量が減り思い通りにプレーできない日々が続いたという。「スポーツのことを学びたいと進学したのに、テニスがおろそかになってしまった…」。歯車が噛み合わない状態を打破したのは、限られた時間をどう生かして練習するのか考えるようになってから。自分のテニスを取り戻し、その結果が、今回のスペイン行きだったのだろう。

テニスを通じて学んだことを、必ず還元したいと考えている。「世界で通用する選手を多く育成するため、ジュニア世代に正しいトレーニングや知識を指導するのが夢です」と話してくれた。一心にボールを追い、純粋にテニスを楽しむ子どもたちが成長する過程に携わり、世界に挑戦する多くの選手の育成に貢献してくれるはずだ。

PROFILE

瀧本怜央さん

関西高等学校(岡山県)卒業。 この夏、2部から1部に昇格した硬式庭球部所属。スポーツ健康科学部で学んだ知識を参考に日々体調管理を行っている。3歳~中学3年まで習っていたピアノを今も気分展開に演奏し、現在も現役選手である祖父のようにテニスを生涯スポーツにすることを望んでいる。

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