卓球ダブルスのペアを組み始めたころから、相性がいいと感じた皆川さんは「このペアなら全国でもいいところまでいけるのではと思いました」と振り返る。上條さんは小技がうまくチャンスメーカー、皆川さんはパワーがあるのでそのチャンスを得点につなげる。お互いの長所を生かしてプレーする、このバランスがペアとしての強さを最大限に引き出しているのだろう。まったく違うタイプの二人、お互いの個性を尊重しつつ、今も刺激しあいながら技術を伸ばしている。

幼少期に家族の影響で卓球と出会い、卓球の面白さを知り、卓球一筋に打ち込んできた二人。今まで県代表として全国大会に出場することはあっても、全国レベルで勝てる選手ではなかったという。伸び悩み挫折し、卓球をやめようと思うことも時にはあったが、それでも続けられたのは、試行錯誤を重ねた結果、何らかの成果につながったときの喜びがあったから。また二人とも文武両道を目指し、親元を離れ立命館を選んでいるという共通点がある。遠く離れた関西の地から関東の強豪校に打ち勝つ姿を、家族や地元でお世話になった方に届けたいという強い気持ちを持っている。

独特の球の変化、近距離での打ち合いが卓球の魅力。相手の思考を推理しつつ、その思考を超える技で隙を狙い、点を取っていく。ダブルスでは1球目のサーブと2球目のレシーブが大事という上條さん。ラリーになる前に相手を崩し、自分のペースに持っていくように心がけている。毎日どれくらいダブルスの練習をしているかと尋ねると、大会前にダブルスの動きを確認するぐらいだというので驚いた。毎日の練習では主にシングルスでの個々の技術を高め、その個人技がダブルスにつながるそうだ。

足りないものを補い合い、2カ月足らずで関西を代表するダブルスへ

ペアを組んで2カ月足らずの6月に開催された関西学生卓球選手権大会で、見事優勝、その勢いのままに、7月に行われた第86回全日本大学総合卓球選手権大会(団体の部)では、52年ぶり団体ベスト8入りにも大きく貢献した二人。10月に行われた全日本大学総合卓球選手権大会(個人の部)のダブルスで、立命館体育会卓球部昭和31年以来となるベスト8に輝いた。「全国大会が地元の長野県で行われたので家族が応援に来てくれたのも大きな力になりました」と振り返る上條さん。強くなったきっかけはと聞くと「レギュラーを勝ち取ろうという勢いある1回生が入部し、僕たちや先輩たちも刺激され相乗効果で強くなった」と皆川さんは分析する。

シングルスではライバルになる二人。まずは来年、シングルスでもダブルスでも今年以上の成績を残したいと話してくれた。この先にある、さらなる成功を視界に捉えている二人から今後も目が離せない。

PROFILE

皆川 朝さん

専修大学北上高等学校(岩手県)卒業。父親の影響で物心ついたときから卓球のラケットを握る。全国から強豪が揃う大学では、いろんな刺激を受け技術の幅の広がりを実感。最近は仲間とサイクリングするなどしてリフレッシュしている。

上條晃希さん

松商学園高等学校(長野県)卒業。小学4年のときに家族で行った卓球が楽しくてクラブチームへ。この春から一人暮らしを始め、食事、体調の管理などにも気を使う。心・技・体が揃っている選手を目指している。卓球以外では仲間とボーリングすることが楽しみの一つ。

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