中学からの同級生だという清水さんと森下さん。今回「不登校の子どもを抱える親やご家族の悩みを共有する会」を実施するに至ったのも、二人の深い絆が導いた結果だったかもしれない。全学インターンシッププログラムで新たな挑戦に思いをはせた二人は、偶然にも同じ受入機関を選んだ。「『何を企画してもいい』という代表の言葉に心引かれました」という清水さん。森下さんは、「何か新しいことを企画するからには、厳しい意見を言ってくれるところで挑戦したかった」。二人は同じ受入機関で半年間、インターンシップに参加することになった。

清水さんが不登校について考えるようになったのは、母親の知人が娘の不登校に悩んでいる話を聞いたことがきっかけ。「不登校に悩む子どもはもちろんだが、不登校の子どもを持つ親や家族をサポートしたいという気持ちが芽生えていました」。このインターンシップで、不登校について対策を講じることができると考え、森下さんに相談。二人で不登校に関わる問題について検討していくことにした。

一人で抱え込まないで!同じ悩みを持つ親に寄り添う

不登校問題は、プライベートな部分にも話が及ぶため慎重な対応が必要で、どこまで相手の領域に踏み込んでいいのかわからず悩んだ、と口を揃えていう。二人は不登校問題をメインに活動している3つのNPO法人を訪問し、ヒアリングを実施。その結果、NPO法人が抱いている共通したニーズが、不登校の子どもを持つ親同士を繋げるコミュニティづくりということがわかった。「一人で抱え込まずに一緒に悩みを共有できる場所があれば、親御さんの肩の荷が少し下りるかもしれない」、そういう思いで今回の「悩みを共有する会」を考えた。参加していただいたNPO法人の活動紹介、不登校経験者の方から実体験を踏まえた講演を実施、また意見交換と個別相談ができる内容にすることを決めた。



当日二人は司会進行を務めていたが、思い描いていた光景が目の前に広がっていたという。参加者同士の交流はもちろん、NPO法人同士の横のつながりもうまれていた。「参加者からは『この会に参加できてよかった』と涙ながらに話してくれる人もいたので、実施してよかったと思いました」。一方で、一人ひとりの心の中にもう少し入り込んでもよかったのではというNPO法人からの意見もあった。自分たちの目標としていた会にできたが、客観的な意見に耳を傾けることで、新たな課題が見えたという。「次回開催することがあればアンケートを実施し、参加者にどのように気持ちの変化があったかを調査したい」と意気込む。

互いに持つそれぞれの色を生かしながら、刺激しあう仲間

この会を実施するまでは、「不登校の原因=いじめ」と思っていた二人だが、集団行動が苦手な子どもや生活環境の急激な変化など、不登校に至る理由はさまざまな原因があることがわかった。それぞれの境遇で悩む家族の持って行き場のない気持ちを、今回のようなコミュニティを通じて共有してほしいと願っている。

ゼロベースから物事を考え、自分たちでつくり上げた企画。全てが初めての経験で、全てが勉強になったという。これからも二人は、良き理解者で良きライバルとしてお互いを高めあう、そんな関係が続いていくだろう。

PROFILE

清水力樹さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。5歳のときからラグビーをはじめ、現在はラグビーサークル「バーバリアンズ」に所属。週2~3回、ジムで体を鍛えている。今後はさまざまな資格を習得していきたいと考えている。

森下勇太さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。小学校時はサッカーとバスケをしていたが、中学時に硬式テニスと出会い個人プレーの面白さに魅了され、現在も週1回、仲間とテニスを楽しんでいる。今後は消費者心理とマーケティングについて学んでいく予定。

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