日々、滋賀県の瀬田川で練習に励み、今年70周年を迎えたボート部は、11月の「第94回全日本選手権大会」において、女子舵手なしペアの奥井さんと藤井さんが優勝し、立命館大学としては3連覇、ペアとしては2連覇を果たした。

2人がペアを組んだのは、2015年8月。舵手なしペアは、一人1本ずつのオールを持つため、2人のバランスが非常に重要なポイントで、バランスがとれていなければ、艇をまっすぐに進めることさえ難しいのだ。レースプランは2人で考え、艇の上では、藤井さんは整調というリズムを整える役割、奥井さんはバウという整調の漕ぎに合わせレース中は周りの状況を見て後ろから声かけをする役割を担っている。

重圧との戦い

3連覇、そして70周年という節目の年、結果を残さなければいけない、という昨年とは比べものにならないほどの大きな重圧が彼女たちに重くのしかかっていた。特にレース前は不安が大きく、とても怖かったと振り返る2人。いよいよ決勝の時、艇の上で奥井さんは何度も藤井さんに励ましの声をかけ、2人は2000m、7分50秒42というタイムで優勝を決めた。レースが終わり、ボート部のメンバーが待つ岸で艇を降りた瞬間、喜びと同時に安堵し、涙があふれ出てきたという。

藤井さんは、「2人とも優勝しようという強い気持ちを持っていたので、重圧も一緒に乗り越えることができた。先輩のラストレースを優勝で飾ることができて本当に嬉しかった」と振り返る。奥井さんは、「9月に行われた全日本大学選手権では2位という悔しい結果に終わり、今大会では必ず勝つと信じて毎日練習してきたので、最後に有終の美を飾ることができた。」と喜びを語った。

引き継がれるキャプテンの思い

全日本選手権大会を最後に、4回生の奥井さんは引退し、11月から藤井さんは、女子キャプテン、総合キャプテンとしてもボート部を率いていくこととなる。これまで女子キャプテンを務めてきた奥井さんは、「ボート部の中で、トップとして活躍してほしい。そして、今年の全日本選手権ではエイト(※)が3位に終わったため、来年は優勝できるよう努力してほしい」と藤井さんへ次のキャプテンとしての期待を込める。
(※)オールを一人1本ずつ持ち、漕手が8人、舵手が1人でボートを進める

藤井さんは、「部でトップでいること、そして部員から信頼されるキャプテンでいたい」とキャプテンとしての抱負を語った。一方選手としては、「全日本大学選手権では2位だったため、次こそは優勝し、表彰台で校歌を歌いたい。全日本選手権は、今年と同じ舵手なしペアであれば4連覇、そして他の種目でも優勝を目指し、ラストシーズンを悔いのないようにしていきたい」と語った。藤井さんが率いる今後のボート部。さらなる活躍を期待したい。

PROFILE

奥井悠子さん

滋賀県立八幡商業高等学校(滋賀県)卒業。 整形外科の分野について学ぶ篠原ゼミに所属し、ボートをする高校生の腰痛の実態を調査し、大学生との比較検討をする研究を行っている。ボートのC級審判の資格を取得。現在はボートクラブでコーチとして小学生にボートを教えている。

藤井香菜さん

岐阜県立加茂高等学校(岐阜県)卒業。 中学ではソフトボール部に所属し高校からボートを始める。大学1回生から舵手なしペアの種目で全日本選手権に出場し、3連覇中。趣味は音楽鑑賞や、ネット動画を見ること。

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