立命館大学及び地域の防災、防犯力の向上を目指すとともに、「大学と地域の架け橋」となる活動を展開している立命館FAST(以下:FAST)。「立命館に防災サークルがないなら自分で作りたい」と考えFASTを立ち上げた仙田さん。出身地の愛知県では幼少期から地震に対する備えが培われ、中学2年時に東日本大震災を経験したことにより、防災について関心が高かったという。まず防災サークルがある同志社FASTに話しを聞いたところ、京都府庁に声をかけてくれた。そこで「京都学生FAST」の存在を知り、FAST誕生へ大きく前進したという。

京都府では2014年から大学生消防防災サークル支援事業「京都学生FAST」をスタート。京都府の大学・短期大学などを対象に、大学生による消防防災サークルの立ち上げを支援している。サークルの発足後は、必要に応じて消防署、消防団、ボランティアセンターなどの調整を行うなどして、活動がスムーズに進むようにサポートもしている。一昨年、昨年度はそれぞれ4大学で発足し、FASTも2015年9月に発足。発足当初、メンバーは仙田さん一人だったが、現在は13人が衣笠キャンパスで活動している。

活動は各大学によって異なるが、地域の消防団の防災パトロール、消防団活動の見学や地域の防災訓練の参加が共通活動である。仙田さんは他大学と同様の活動を取り入れつつ、立命館独自の活動もしたいと考え、立命館の学生オフィスなどの職員からのアドバイスも参考に検討。月1回、大学周辺の夜回りを30-40分実施し、防災はもちろん防犯活動も並行して行っている。その際に「道が暗い」などと感じた場所の洗い出しも行っている。今後の活動もしっかりと視野にいれ、「来年度は北区役所とともに防犯マップを作成していく予定です」と話すその姿は、代表としての責任感と使命感が垣間見れた瞬間だった。

イベントを通じ、防災意識、防災力の向上を目指す

この冬、FASTは2つの大きなイベントに参加している。1つは大学で実施された全学防災訓練時に北消防署と連携して、起震車(地震を疑似体験できる振動装置)と煙体験ハウス、消火器体験を企画した。今回、初めての試みで参加者が少ないのではないかと危惧していたが、想像をはるかに超える参加(起震車200名、煙体験100名、消火器50名)があり、一安心したと振り返る。



また、京都学生FAST運営委員会が主催し、来場者に防災について考えてもらうことを目的に開催した「京(みやこ)防災フェスタ2016~防災ってなんどすか?~」にも参加。FASTは非常食である「アルファ化米」の炊き出しを実施し、200食を完売した。実際に試食した人からは、「非常食だけど思っていたより美味しい」「こんな非常食知らなかった」という感想を聞くことができた。「私たちが知っていることでも、みんなが知らないこともまだまだある。たくさんの人に防災知識を増やしてほしいという気持ちが高まりました」

今後もキャンパスで防災、防犯についてのイベントを開催したいと考えている仙田さん。「地域の防災力の底上げに少しでも貢献したい」という思いは強い。今後もさらなる高みを目指し、成長し続けるFASTから目が離せない。

PROFILE

仙田真也さん

愛知県立丹羽高等学校(愛知県)卒業。中学時は水泳部、高校時は吹奏楽部に所属しチューバを担当。中学2年時に経験した東日本大震災をきっかけに、手書きの壁新聞を1年間で140部発行。現在は無責任に放置された猫を減らすための大学環境・地域環境を目指すために活動している「RitsCat」と地域の消防団にも所属。今後は日本政治史をメインに学び、明治以降の政治と災害の関係について研究する予定。

最近の記事