IROHAスクールでパソコンの授業を

国際協力団体IROHAは、NGO団体と協力し、2010年、カンボジアのストゥントレンにあるオースヴァイ村に公立中学校「IROHAスクール」を設立し、継続的な支援を行ってきた。2016年11月には、IROHAスクール に初めて1台のパソコンを設置し、タイピングの練習やソフトの使い方を子供たちが授業で学んだり、教材の作成やIROHAと学校との連絡用などに使われている。「パソコンを設置できたことは、IROHAにとってこれからの支援の幅が広がる大きな1歩だった」と振り返るのは、7代目の代表を務めた中嶋さん。

IROHAでパソコンプロジェクトの構想があがったのが2012年。IROHAスクールの校長先生からの強い要望があってのことだった。パソコンを設置すると約束をしたものの、資金面の問題や電気や回線が通っていないというさまざまな問題がありプロジェクトは停滞していた。「約束したことはやり遂げたい」代表になった中嶋さんたちは、改めてプロジェクトを進めることにした。オースヴァイ村では環境も徐々に改善され、電気や回線が通っていることがわかったため、パソコンや回線工事等の費用やその他の支援のための募金活動を週に1回行った。NGO団体の協力も得て、なんとかパソコン1台の設置とパソコンの教師を派遣することができた。

子供たちに可能性と夢を与えたい

2年前から始まった、IROHAスクールの子供たちの夢を応援する「夢プロジェクト」。協力してくれる企業を探し、年に1度、病院や高校、デパートや美容院、自動車工場などで職業体験を実施している。中嶋さんは、子供たちが興味津々で話に聞き入る姿を目にし、「子供たちに多くの可能性の中から自分の夢を見つけてほしい」と語る。

IROHAはカンボジアで、掃除習慣のない現地の子供たちと掃除をしたり、農作業の手伝いをしながら村の人々にヒアリング調査もしている。これまで、2度カンボジアで支援活動を行った中嶋さんは、「自分たちの活動で子供たちの人生が変わる。人生を背負っているんだ」と強い責任感を持つようになったと振り返る。一方、活動は楽しいことばかりではなく、現地に何度も行けるわけではないため、モチベーションを保つことも難しい。だからこそ約70人のメンバーには楽しみながら活動をしてもらおうと心がけていたという。

カンボジアの状況もスクールもどんどん変わって行く。現地で見て、聞いて、もっとカンボジアのことを知って、新しいことにチャレンジしてほしい。」とこれからのIROHAスクールを支えていく後輩たちへ期待をこめる。中嶋さん自身は、「IROHAの活動を通して、人はいろいろな可能性を持っていることを実感し、人の可能性をより広げられるような仕事を目指したい」と将来を展望する。これまでの経験を糧に次の目標に向け突き進んでいくだろう。

PROFILE

中嶋大輝さん

立命館高等学校(京都府)卒業。高校の修学旅行先のベトナムで、子供たちと接したことをきっかけにボランティア活動に興味を持つ。1回生からIROHAの活動に参加し、2015年12月から代表を務める。2回生からは経営学部オリター団にも所属し、新入生の学習や生活支援を行っている。

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