女子陸上競技部は、全日本大学女子選抜駅伝で4連覇を果たすなど、何度も日本一の座に輝き注目されてきたが、それゆえに周囲からの声や不安と闘ってきた。そのチーム27人を引っ張ってきたのが、長距離パート主将の菅野さんだ。

主将としての覚悟

菅野さんが、主将になったのは2回生の冬。コーチから指名を受けたときには怖いと感じたという。精神的にも負担が大きい主将となり、競技に集中できなくなったり、不調に陥ることもあるからだ。それでも「日本一のチームで主将ができるのは自分しかいない。任せられたからにはやるしかない。絶対に最後までやりきる」という強い気持ちで就任した。主将として人一倍練習に励むこと、レースでは確実に結果を出すこと、チームをまとめることを心掛け、実践してきた。今年度は特にお互いに信頼できる関係を作り、チームワークを徹底的に追求するため、練習や生活のことなどについて何度も本音で話し合った。

4回生の5月に怪我をし、3カ月間全く実践的な走る練習ができなかった。メンバーとは別メニューだったものの夏合宿に参加し、その後もリハビリと練習にひたすら取り組み、10月の「杜の都駅伝」に間に合わせることができた。怪我をすると、モチベーションが下がり、練習に気持ちが入らない人がどうしても多くなってしまうため、どのようにモチベーションを維持していくのか、自分の姿を見て、メンバーにも学んでほしいと考えていたという。

このチームで優勝を勝ち取りたい

10月に行われた「杜の都駅伝」の前は、チーム全体が不安でいっぱいだったという。結果は、6連覇を逃し、2位。チームはその後、なぜ負けたのか、何が悪かったのかを話し合い、改善してきた。菅野さんはどんな状況でも不安な顔を見せず、メンバーに自信を持ってほしいと伝え、練習でも先頭を走るなど力強くチームを牽引してきた。そして「ただこのチームで本当に勝ちたい」という思いで臨んだ12月の「富士山女子駅伝」では、「杜の都駅伝」の雪辱を果たして4連覇を達成。「4回生7人でチームを引っ張り、このチームで勝てたことが嬉しかった」と喜びを語った。

選手としてより厳しい世界へ

2017年1月、菅野さんは2年間の主将としての役割をやり遂げ、後輩へ引き継いだ。この2年間、精神的にもつらいことも多かった。陸上競技は心が体を動かすスポーツとも言われるが、まさに主将になってからはかつてと比べて精神面からくる不調もあったという。そんな中でも、自分自身の弱いところは部員には決して見せず、友人や親、高校の恩師など周囲の人々の支えや部内の同級生にも助けられながら多くの苦悩を乗り越えてきた。卒業後は、実業団に入り、さらに厳しい陸上の世界で闘っていく菅野さん。「生半可な気持ちではやっていけない。2020年、東京オリンピックへの出場を目指す」と将来を見据え、力強く話した。

PROFILE

菅野七虹さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。小学6年生から陸上を始め、中学時代は地域のクラブチームに所属し、学校ではソフトテニス部で活動していた。高校では全国高校駅伝で優勝を経験。2015年7月、学生のオリンピックともいわれる「第28回ユニバーシアード競技大会」のハーフマラソンで、団体で金、個人では銀メダルを獲得。2016年3月「第20回世界大学クロスカントリー選手権」では、団体の金メダルに貢献した。リフレッシュするときや練習前に、大好きなK-POPを聞いている。

最近の記事