企業や機関から与えられた課題に対して制限時間内に戦略・解決策を考え、評価を競うビジネスケースコンペティション。3回生時「国際経営戦略論」の授業で出会った4人は、「今まで学んできたことがどこまで通用するか挑戦したい」と思い、「Robert Walters Japan Business Case Challenge2016」への参加を決めた。

当日は全国から15大学、12チームの学生が参加。イギリスに本社をおき、世界の主要都市にオフィスを構える人材紹介会社Robert Waltersが、今後5年間で日本市場における収益を2倍にするためにはどうすればいいかという課題が与えられた。

バイリンガルで年収1000万円以上のハイクラスな人材をターゲットにしているRobert Walters。4人が着目したのは、そのターゲットの裾野を広げること。スーパーグローバル大学に採択されている大学の新卒学生をターゲットにし、優秀な新しい人材をいち早く確保することを提案。新卒をターゲットにしたこと、分析内容が精密だった点などが評価され、今回、ビジネスケースコンペティションに初挑戦だったが、見事準優勝に輝いた。

チームだから成し遂げられた。言語の壁を超え、英語でのプレゼン

携帯も没収され、使用できるのはインターネットのみ。睡眠もままならない中、彼らは妥協せず、論理的思考を突き詰めた。まず、本間さんが全体のタイムスケジュールを決め、数字班と戦略立案班にわかれて分析を開始。数字班の須田さんは、グーグルアナリティクスで検索数を徹底的に調べたり財務面の分析をし、数的根拠を導き出した。

分刻みのスケジュールのなか、33ページに及ぶ資料を作成しながら発表の分担を決めていき、十分なリハーサルができないままタイムアップを迎えた。発表もスライドももちろん英語。審査員に響くように、話すスピードやトーン、目線など聞き手の反応に気を配り「あとは個々の表現力を信じるだけ」と挑んだ。大会を振り返り「戦略を詰込みすぎ、情報が多すぎたのがマイナスポイントだったかも…あと一歩だったのに」と悔しさをにじませた。

授業では化学や金融など13業界にまつわるケーススタディに触れ、ディスカッションし、自分たちの知見を広げてきた。しかしそこは学内という限られた範囲。高評価されても、実際に社会に出て通用するかどうか不安に感じてもいた。今回の評価で、4年間の学びが通用することを実感した彼らは、結束を深めただけでなく大きな自信を得た。「結果を恐れず、さまざまな場所で挑戦することが自信になることを、後輩たちにも伝えたい」

18時間でつくり上げた成果は彼らの糧となり、今後どんな困難にぶつかっても乗り越えていくだろう。「会社の最前線として働いているころ、また再会しよう」とそれぞれの舞台で活躍することを誓い、彼らは別々の道を歩みだす。

PROFILE

須田光紀さん

佼成学園高等学校(東京都)卒業。高校では軽音楽部に所属しベースを担当。大学では松浦総一准教授のゼミで国際経営について学ぶ傍ら、論文執筆に力を注ぎ、国際学会での発表や大学の父母会賞を2回受賞。国際社会で活躍する人材養成特別プログラム「オナーズプログラム」に参加。今春からは情報システムに関わる製品、サービスの提供会社に就職予定。

本間健智さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。高校まで香港で育ち、4カ国語を話す。中学・高校とバスケットボールに熱中。大学では齋藤雅通教授のゼミで中国・アジア向けマーケティングについて学ぶ。「グローバル・ゲートウェイプログラム」に参加、香港中文大学への交換留学中に現地コンサルティング会社にて5カ月間、アナリストインターンを経験。今春からは総合商社に就職予定。

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