高校3年時に訪れた立命館のオープンキャンパスで、丁寧に図書館ツアーをしてくれた学生ライブラリースタッフ(以下:LS)に憧れを抱いた余田さん。「私もみんなの心に響くツアーをしたい」と思い、立命館への進学を決めた。

最先端の機能を完備し、さまざまな学習環境を選べるなどの特色を持つ平井嘉一郎記念図書館(以下:図書館)は、学生はもちろん市民に開かれたスペースになっている。そこで活躍する衣笠LSは、留学生を含めて81名。空きコマを利用し、配架やぴあらカウンターでの業務、館内ツアーなど、活動内容は多岐にわたる。図書館を快適に利用してもらうために何ができるかを学生同士で考え、図書館環境の整備に日々努めている。

図書館を楽しく。さまざまな取り組みに挑戦

LSはプロジェクト活動にも力を入れており、“図書館”という固定観念を打ち破り、新しい発想でさまざま企画に取り組んできた。最近話題を集めている脱出ゲームを図書館で開催したのは2016年4月。館内に隠された10の謎を、RUNNERS(蔵書検索システム)などを使用しながら解いていくと、新しい図書館の見所をまわることができるというゲームで、12日間で約300名の参加者があったという。2017年4月にも2回目を開催する予定だ。

また、新たな本との出会いを紡ぎだす企画として、表紙・題名・著者を隠して紹介文だけで興味をもってもらうブラインドライブラリーも開催。2016年6月には「○○なあなたに贈る一冊」というテーマで15冊の本を厳選。現在は「立命館大学図書館研究会」がお勧めする本を展示している。



「利用者の目線に立ち、図書館を楽しくする工夫を考案しています」と穏やかな表情で話す余田さん。2017年4月からは、ぴあらカウンターで資料に関して困ったことがあれば相談できるクイックレファレンス業務も開始する。「些細な質問も学生同士なら聞きやすいかなと…。そのために私たちもサービスの向上を目指します」。その他にも新しい取り組みや企画を実施していく。

LSから利用者に対してサポートするのはもちろんだが、LS同士が多様性を生かしてサポートし合える環境にしていくことも心がけている。「『図書館はいろんな知識を得て自分の世界を広げられる場所』ということを多くの人に知ってもらいたい」と願う余田さんの図書館への情熱は、日増しに強くなるばかりだ。

取材を終えて

図書館で「よむりすを救え!図書館脱出ゲーム」や「ブラインドライブラリー」といった新しい企画が実施されていることを知り、LSのチーフを務める余田さんにコンタクトをとった。一緒に館内を歩く際も、目についた本の乱れを整えるなど、細かな気配りができる人という印象を受けた。これからも図書館司書課程での学びを生かした、立命館オリジナル企画を心待ちにしたい。

PROFILE

余田 葵さん

兵庫県立柏原高等学校(兵庫県)卒業。幼少期に両親と何度も訪れたことをきっかけに、図書館好きになる。中学・高校では吹奏楽部に所属し、打楽器を担当。大学入学後は入試広報学生スタッフ、立命館大学図書館研究会(自主ゼミ)に所属。2016年2月から、異文化交流プログラムを利用しニュージーランドに1カ月留学。今後は、電子書籍の可能性や紙の本との共存について学んでいく予定。

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