2017年4月、滋賀県守山市今浜町の河口部に、環境学習などに使用することを目的とした「大川親水デッキ」が完成した。4月22日の完成記念イベントには300人もの地域住民が参加し、竹灯籠700個に灯りがともされた。イベントの一つである竹灯籠祭りを企画したのは、大川活用プロジェクトに参加している、学生団体「haconiwa」のメンバーたちだ。
※野洲川の分流だった大川の水環境改善と観光資源化を目指し、美崎自治会と守山市、京都大学、立命館守山高等学校などにより発足したプロジェクト。

「川の水をきれいにしたい」という思いから始まった活動

桑原さんは、立命館守山高等学校のSci-Tech部でプロジェクトの発足に携わり、大川の水質改善のために水質調査を行っていた。先生に勧められ始めた活動だったが、次第にやりがいを感じて打ち込むようになったという。大学入学後は、イベントの企画を通して地域の活性化を目指し、2015年7月、Sci-Tech部の後輩とともに大川活用プロジェクト支援団体「haconiwa」を立ち上げた。立ち上げ後、守山市が大川にウッドデッキを設置することを知った。「美崎の魅力を伝えるイベントを行いたい」という地域の人々の声を実現し、美崎地区で問題となっている竹害を改善するために、伐採した竹を活用して、町の魅力を伝えるイベントを開催しようと考え、今回の竹灯籠祭りを企画した。

地域住民と協力してつくりあげた竹灯籠

美崎自治会などが小学生向けに行う「大川夏休み自由研究室」のイベントで手伝いをしながら、竹灯籠の準備を進めていった。風や川の水で灯籠の火が消えないよう竹の長さなど試行錯誤し、何度も試作品を作った。そして、今年の3月、美崎自治会の協力を得て、3日間をかけて700個の竹灯籠をつくりあげた。周辺の幼稚園や小学校で子どもたちに願いごとや絵を描いてもらった竹灯籠は、川の中に400個、デッキ上に300個並べられ、灯りがともされた時は嬉しさがこみあげたと語る。

7年間、この大川プロジェクトに関わり、「水質を改善したい」という思いから始めた活動が、今では地域住民と大きなイベントをするまでに広がり、これまで続けてきてよかったと桑原さんは振り返る。現在は、他大学の学生も参加し、9人で活動を続ける「haconiwa」。これからは、民泊と農業をセットにした体験イベントや、子どもたちへ勉強を教えながら大川の環境学習なども行っていきたいと話す。そして、今回が1回目となった竹灯籠祭りは、地域のお祭りの一つとして毎年続けていく予定だ。

PROFILE

桑原知希さん

立命館守山高等学校(滋賀県)卒業。環境バイオテクノロジー研究室に所属し、今後は「細胞壁構成成分の遺伝子破壊」について研究を行っていく予定。趣味は海外旅行とアコースティックギターで、高校時代から農業に興味を持ち、カナダで1カ月間、ファームステイをした経験を持つ。

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