交互に盤上に石を置いていき、自分の石で囲んだ領域の広さを争う囲碁。5歳のとき、アニメ「ヒカルの碁」に影響を受け、その囲碁の世界に飛び込んだという西岡さんと平野さん。同学年、同学部、同じ囲碁研究部に所属、と共通点が多い二人だが、対称的な部分も多かった。

西岡さんと囲碁 これまでの歩み

「囲碁の魅力は?」と聞くと、「奥が深く、無限に広がる可能性」という西岡さんは、2017年4月からプロ棋士になった。小学5年から日本棋院の院生としてプロを目指し採用試験に挑み続けてきたが、結果が振るわず、悔しい思いをしてきた。2016年10月~11月に開催された、日本棋院中部総本部棋士採用試験本戦で1位になり、見事プロの世界へ。

「地元の和歌山では、一人で囲碁の研究をしていたので、大学で囲碁研究部員と対局を重ねることでき、この1年間はすごく勉強になり成長したからこそかもしれません。ずっと支えてくれた家族には一番に感謝の言葉を伝えました」と振り返る。空きコマにはプロ棋士の対局中継を観戦し、授業後は部員と対局、帰宅後も囲碁のことを考えることが多いという。体力づくりのためにジムで汗を流すこともあり、「体を動かすのは好きで、囲碁以外の最近の楽しみは、ソフトテニスを友人とすることです」と明るく話してくれた。「斬新な手を打つ棋士になりたい」、今後、この大学での環境を生かし、さらなる高みを目指したいと意気込む。

平野さんと囲碁 これまでの歩み

平野さんは、小学6年から院生としてプロ棋士を目指していたが、高校3年間、囲碁から少し離れて体育会系の部活動に入っていたという異色の経歴の持ち主だ。「その期間があるので、プロになるのが少し遅れたかなとも思いますが、体育会で体を動かしていたのもいい経験。長期戦の対局では体力でも負けません」

大学入学後の出場大会でも、ほとんど決勝に進んでいる平野さん。平常心を保つために、また、眠気に勝つために、対局前は食事を取らず、対局中の必勝アイテムはミルクティーという。部室以外では囲碁のことは考えず、家に帰れば家事やゲームに時間を費やす。アマ名人として君臨していた平野さんだが、「プロとしての技術と自覚を身につけたい」と今年はプロ試験に挑戦する。

刺激を受ける、囲碁研究部の存在

囲碁研究部は全キャンパス合わせて約50名の部員がいる。研究部での対局はいろんな刺激を受け自分の成長につながり、大切な時間だと二人はいう。「自分たちの活躍を通して、少しでも多くの人に囲碁を知ってもらい、囲碁の普及につなげたいです」。二人の烏鷺(うろ)の争いはまだまだ続く。

PROFILE

西岡正織さん

和歌山工業高等学校(和歌山県)卒業。囲碁の普及に役立てたいとメディア社会専攻でメディアについて学ぶ。

〈過去の棋士採用試験成績〉

2013年 本戦2位

2014年 予選敗退

2015年 受験のため、プロ試験は受けず

2016年 予選:1位通過(19勝1敗)、本戦:7勝3敗で2人が並び、予選上位の西岡さんが1位

平野翔大さん

東京都立新宿山吹高等学校(東京都)卒業。人間福祉専攻で老人福祉について学ぶ。

〈2016年度成績〉

第11回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会 優勝(6連勝)

第60回全日本学生本因坊決定戦 準優勝

第4回全日本学生囲碁最強位決定戦 準優勝

第53回大学囲碁十傑戦 優勝

第60回全日本大学囲碁選手権 準優勝

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