「脚力を生かしたプレー」。渡辺さんの強みはこの言葉に尽きる。

渡辺さんの故郷である福井県丹生郡越前町は、ホッケーが盛んな地域で、「『スポーツ=ホッケー』というように、地元にはホッケーチームしかなかったくらいです」と話す。小学4年からホッケーを始め、当時は体が大きかったのでGKをしていた。中学生になり、「ゲームメイクできるポジションでプレーしたい」と、自身の強みである脚力を生かせるFWへ転身。ポジションを確固たるものとし、中学3年時には全国中学大会で優勝、高校2・3年時には、全国高校総体(インターハイ)で2連覇を達成、3年時は全国高校選抜大会でも優勝という好成績を残している。

日本代表として戦い、強くなった五輪出場への思い

大学1回生のときに、ホッケー男子日本代表チームの「サムライジャパン」に初選抜され、その後、3年連続で代表に選ばれている渡辺さん。「脚力を武器にしている代表選手はたくさんいます。切磋琢磨し、ライバルに勝つためにはどうしたらいいかを考えながらプレーをするようになってから、少し成長したかもしれません」と謙虚にいうが、地道な努力の積み重ねがもたらした必然の結果だろう。2回生のときには代表デビューも果たした。

そして、2017年4月29日~5月6日、マレーシアで開催された国際大会「アズランシャーカップ」では2試合に出場。第2戦のイギリス戦、試合には負けたが、第4Qの49分には念願の初得点を挙げた。「ラッキーな得点だったんです…。でも、その試合での得点以上に、第5戦のオーストラリアに勝利したこと、そして、その瞬間ピッチに立っていたことが嬉しかったです」と感慨に浸る。オーストラリアは世界ランキング1位の強豪チーム。一進一退の攻防が繰り広げられていた第4Qの56分と57分、日本は立て続けに点数を入れると、そのまま勝利へ。“チーム一丸となり守りを固め、少ないチャンスを生かして点数をとる”というスタイルを貫いた結果だった。「海外選手と対戦してさまざまな刺激を受けました。基礎練習を怠らず、もっとスタミナをつけたい」とホッケーを極めたいという意欲がさらに高まったという。

大学日本一のタイトルに向けての挑戦

時を同じくして、大学ホッケーもシーズン真っただ中。代表合宿や試合で数週間チームを離れて不安はないかと尋ねると、「現在のチームメイトは、高校時のチームメイトや共に戦ってきたライバルたち。信頼しているので、戻ればすぐにチームに馴染めます」という。学年関係なく意見を言いやすい環境は、チーム運営に反映されていて、「学生中心のチームづくり」が立命館ホッケー部の特徴だ。

しかし、ここ数年、ホッケー部は常に厳しい戦いを強いられている。「大学日本一のタイトルがないので必ず獲りたい」。その執念をチームに浸透させ、チーム一丸となって勝利を手繰り寄せたいという渡辺さん。日本代表と立命館ホッケー部を兼任して3年目。東京五輪への道を切り開きたいと、自らを奮い立たせる渡辺さんの真価が問われる競技生活が続く。

PROFILE

渡辺晃大さん

福井県立丹生高等学校(福井県)卒業。小学4年からホッケーを始め、俊足を生かし、各世代で代表として活躍。男子日本代表チームの「サムライジャパン」に3年連続選出。立命館ホッケー部は、2017関西学生ホッケー春季リーグで3期連続優勝を達成し、6月28日(水)~7月2日(日)に開催される、第36回全日本大学ホッケー王座決定戦(第36回全日本大学ホッケー東西交流戦)に挑む。大学ではマーケティングについて学び、オン、オフをはっきりさせホッケーと学業との両立をはかっている。

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