「全国知事リレー講義」ライン

 2011年 7月 12日            相模原市 加山 俊夫 市長


           「地方の活力が、日本を発展させる





1.はじめに

相模原市は横浜市のすぐ隣の市だが、聞き覚えのない人が多いのではないか。初めに、少し相模原市のことを紹介したい。

今全国に、平成の大合併以降約1,720の自治体があるが、そのうち政令市は19市ある。相模原市は昨年4月に政令市となり、戦後生まれの政令市としては初めてとなる政令市である。最近は政令市になる市が多く、関西では岡山市、中部では静岡市や浜松市が政令市となっている。来年には熊本市が20番目の政令市となる予定である。政令市は人口がおおむね70万人以上というのが一つの条件となっているが、相模原市は合併をしてそれをクリアした。なぜ政令市になるかと言うと、自治体は大変財源的に厳しい状況にあるためである。

あと数年で日本は超高齢化社会を迎える。少子化時代になり、生産性を持った若い人の力が少なくなるという時代になる。現在、相模原市では5人に1人が高齢者だが、あと5年経つと、4人に1人が高齢者となる。戦後日本の発展を支えてきた人たちが、余生を楽しんで安全に暮らしていこうとしても、社会保障がない社会に突入することになる。どこの都市でも保健、医療、福祉に大変お金がかかるが、どうやってそのためのお金を確保するのかということが問題となる。そのときに、入ってくる税収を高めるような都市づくりをしていかないといけない。

今、日本の国家は大変なときを迎えている。税も入らず、経済力もなく、働く場もなく、国の発言力もないという状況になっている。加えて、東日本大震災の対応に右往左往しているという状況である。

将来を見据えた税と社会保障の一体改革をしないといけないということで、政権では数年先に消費税を上げる方針が発表されているが、いずれにしても、地方自治体自身が自立して勝ち残っていかないとならない時代となっている。

また、多くの市民に住んでもらい、企業にも来てもらうという成長戦略を持たないとならない時代に入っている。相模原市は首都圏に位置しているが、なんといっても首都圏が力を発揮して日本の地位や発言力が落ちているのを浮揚させないといけないと思っている。そのような中で、相模原市は頑張っていこうという思いを持っている。





2.相模原市の紹介


 相模原市は神奈川県の中の市で、神奈川県の中には33の市町村があるが、政令市がそのうち3つある。日本で、一つの県の中に政令市が3つあるのは神奈川県だけである。相模原市は神奈川県の中でも北部に位置しており、東京都と山梨県と境を接している。平成の大合併でなぜ合併が進んだかと言うと、小規模な自治体では運営がもたなくなり、合併をしてある程度の規模となり、広域的にサービスを提供できる環境を維持する必要があったためであった。

相模原市は、神奈川県内で唯一合併をした市である。相模原市が合併した地域は、県内でも自然豊かな地域であった。神奈川県には4つの水源があり、そのうち3つが相模原市内にある。相模原市は厳しい条件を持つ地域を抱えているが、国民生活を営むための重要な水を生み出す拠点が市内に3つもある。

もし相模原市がへそを曲げて水を他の地域に出すのが嫌になって水の供給を止めてしまうと、横浜市や川崎市では生活ができなくなってしまう。広域連携をしっかりして水源を守ろうとしている。旧の相模原市は、ほとんどが市街地だった。工場、企業、市街地が中心となっており、人口70万人のうち、62万人が旧相模原地区に住んでいる。

合併の結果、面積が県下で横浜市に次いで2番目に広い市となった。相模原市周辺には大学が30ほどあり、その中には専門性のある大学も多い。また、世界的にも有数のものづくりの集積地となっている。

市民の活力を見ると、相模原市は、市民の平均年齢が40.7歳で、政令市の中でも大変若い市となっている。市内には区が3つある。合併をしたエリアの緑区、旧市の中心部であった中央区と南区の3つである。それぞれの区の人口が25~26万人ある。地方自治のあり方がどうあるべきかということをずっと研究してきた。政令市では区を設ける必要がある。それぞれの区には25万人程度の人口が現在いるが、地方自治の研究からは1つの区は10万人程度の人口が良いのではないかということになっていたが、当面は3区でスタートした。





  


3.震災に強いまちづくり

 

震災に強いまちづくりをやっていかないといけないと、311日の東日本大震災を受けてつくづく思った。原発や津波の問題もあるが、何か起きたときに想定外という話は一切できない。何かあったときには即対応する必要がある。

原発は事故を起こさないという神話があったが、現在10キロ圏内では避難命令が出ており、住めない状況となっている。相模原市は住めない場所ではないが、放射能汚染の恐怖から、児童の保護者や農家から、安全性の調査を行ってほしいと要望されている。それを受けて、安心が確保できるよう、数値の公表をしながら、対応を進めている。

市民の安全を守るため、国の災害対策方針を受けて、それぞれの県や市町村が防災計画を持っているが、それだけでは対応できない場合がある。

今回の震災でも、帰宅困難者が出た。そのときに、どのように対応するかということも、もう一度検証しないといけない。他にも、計画停電で電気が止まったときにどう対応するかなど、いろいろな問題が出てきた。これらの点をしっかり検証することが行政の役割だと思う。

被災・被ばくの問題や、物資が失われたところへの支援をどう行っていくかという点については広域連携の構築が重要となることが再認識されたと思う。また、今回の震災で出たがれきは、人間の力ではどうしようもなく、その対応にあたったのは自衛隊や米軍だった。

19政令市と東京都で、「20大都市防災連携協定」を持っており、地方自治体の力にゆだねられている部分もあるが、自衛隊や米軍の資材がなければ対応できないという状況になっている。相模原市には米軍基地が3あり、そこにある資機材を市民の防災のためにも活用してもらいたいということで、防災協定を結んでいる。

岩手県の大船渡市とは姉妹都市連携を25年も行っている。子どもの交流や経済交流も行っているが、一番大事なのは宇宙航空研究機構が相模原市にあり、大船渡市も含めて日本全国にその機構があるが、それがあるところと友好都市定型を結んでいる。大船渡市以外にも、長野県佐久市や鹿児島県肝属町など6つの市・町で「銀河連邦」という姉妹都市提携を行っている。

そのことが功を奏して、相模原市から船渡市に、震災の翌日から物資、職員を派遣している。これは、連携があったからこそしっかりできたものである。このことを通して、各市町村の連携がこれからしっかりと必要になる時代になるということがわかった。自治体としては、市民の安心・安全を守ることが大前提で、今回の大災害に対して、どこの自治体も思いを新たにしたのではないかと思う。





4.リニア新幹線を見据えたまちづくり


 

 相模原市の最近の状況を話すと、相模原市だけで発展しようとは思っていないし、相模原市だけががんばっても発展できるとは思っていない。広域交流拠点都市として、周辺都市とも連携して、それぞれの特徴を活かして発展していこうとしている。そのことが、日本の力の底上げにつながると思う。

なぜ広域交流拠点都市を標榜するかというと、リニア新幹線事業が決定した影響があるためである。リニア新幹線が開通すると、東京・大阪間が約1時間で結ばれるようになる。今の東海道新幹線では東京から大阪まで2時間以上かかるが、その半分の時間で結ばれることになる。従来のリニア新幹線の計画は、時間短縮を目的としていたため、東京、名古屋、大阪以外には駅を造らないということになっていたが、ずっと運動展開をした結果、11駅とすることが正式決定された。

神奈川県の中では、川崎市や相模原市が駅を誘致していた。長野県内のルートはまだ決まっていないとも聞くが、南アルプスの下を直下型でリニアを通すということが、すべての実験を行い、技術的に対応できるということで決定した。東京から名古屋まで、あと15年で営業開始となるが、山梨県には実験線があり、来年にはその実験線が43キロできあがる。そうすると、東京・名古屋間の7分の1ができてしまうことになる。相模原にできる駅がどれだけ重要かと言うと、首都圏には3,500万人が住んでいるが、そのうち、相模原の駅を利用する圏域の人口は1,200万人と言われている。今後のビジネスも含めた多様な利用の中では、リニアの相模原駅を利用する人々が多くなるのではないかと思う。





5.今後の相模原市のまちづくり

 

相模原市には大きなプロジェクトが集積している。広域圏形成の中心軸にある市にならないといけないと思っているが、リニア新幹線では関西圏、中京圏との連携が必要となる。道路の関係では、東京から出ている高速道路が6本あるが、これを全部つなげて環状道路(圏央道)にするプロジェクトが、あと1年でできあがる。これができあがると、東京から出ている高速道路が全部つながることになり、産業の物流、ものづくりの物資の移動、製品の移動が用意になるという効果があり、産業立地が非常に優位化することになる。

相模原市は昭和29年に人口8万人の市としてスタートして、人口急増都市として現在の71万人まで増えてきた。その背景には、京浜地区でオーバーフローした製造業を、市内に誘致してきたという歴史がる。

そして、職住近接の中で、働いている場所の近くに住みたいという人が増えてきて、いろいろな都市機能を整備する必要があるという行政課題につながってきた。今の日本は経済的にも産業的にも疲弊して、国際競争力が落ちてきている。相模原市はものづくりで生きてきた都市で、市内で優秀な企業育成をしていく必要がある。

政策的にも奨励金制度や企業誘致条例をつくり、企業誘致をしているが、立地環境も重要となる。例えば、相模原市には海がないため、どのように港湾と直結するのかといった問題が出てくる。高速道路網にしても、交通ネットワークがしっかりしていないと、日本は一発でだめになってしまう。地方自治体にとっても経済成長、産業発展するような環境をどのように作り出すかは大変重要な問題となるが、これは一自治体でできるものではなく、高速道路やリニア新幹線にしても国のプロジェクトによって大きく左右されるが、これらをマイナス要因としてとらえるのではなく、いかにプラス要因にしていくかが都市の能力だと思う。

相模原市には大きな事業があり、今後は産業を大きく発展させるであろう圏央道ができあがる。また、相模原市を広域連携都市の中枢軸に位置したいと思っている。そのために今は国に支援の申し入れもしている。インターチェンジの近くの農用地で、産業創造ができるような土地利用を図りたいということで、土地区画整理を含めたまちづくりをしている。また、今後できる2つのインターチェンジの横に4つほど、工業団地を整備していきたいと思っている。

人が住むためには働く場、雇用の場の創出も大事だが、職住近接ということで、住む環境づくりも重要となる。ただ住宅地があれば良いというのではなく、自分が求める施設の多様な選択ができるかどうか、芸術・文化施設があるかといったといった点が重要となり、高次元の都市機能を持てる都市づくりを進めていきたいと思っている。

相模原市では、米軍基地のあるまちということを逆手にとって、基地施設の一部が返還されることにともなって、そこに高次の都市機能を誘致しようとしている。米軍と市民が共同で使うような施設や、プロ野球の専用球場も造ることも考えている。米軍基地が返還されたときの構想として、そこでスーパーポリス構想ということで、環境共生都市として、環境に配慮した都市づくりを進めていきたいと思っている。今、相模原市にはまちづくりのための条件が整いつつあることを認識してもらえればと思う。



6.地方分権改革の重要性

 

一番大事なのは、地方分権改革の推進をすることである。自治体は市民の税金によって成り立っている。地方自治体は地方税法に基づく地方税によって支えられているが、今は教育や医療、介護、社会保障にかかわる扶助費に大変お金がかかる時代になっている。しかし、税金を上げると言うと、そんな人はすぐにやめさせたほうが良いという議論になってしまう。

加えて、人口減少社会ということがある。これまで人口は右肩上がりで増え続けてきたが、それが2年ほど前から減り始めている。社会的な環境では、支えあうという意味で大変な時代を迎えていると思う。人口減少で支える人が少なくなっている。今、雇用の場がないということが言われているが、昔ならどのような仕事でも死ぬ気で頑張る人が多かったが、今は社会保障の枠組みの中で、申請すれば生活保護が受けられるのが当たり前になっている。相模原市を例にとっても、社会保障費は毎年40億円から50億円も増えている。相模原市の財政規模は特別会計も入れて4,000億円程度だが、最近は社会保障費や医療費がどんどん増えている。

加えて、市民の要望があるため、子どもの養育環境の整備も進めていく必要がる。私が今年の選挙に出たときの選挙公約では、2年間で待機児童500人をゼロにするということを約束した。これをなんとかしないといけないが、保育所をつくるには大変なお金がかかる。今年義務付け、枠付けとして、補助金を出すが国が細かい条件をつけるため、経費が増える。

高齢福祉施設といったハード面だけではなく、介護人材の育成ということも大事で、それにも大変お金がかかる。相模原市には、現在2,600人の高齢者施設への入所待ちをしている在宅高齢者がいる。今の介護システムでは、施設ではしっかりしたサポートが受けられるが、在宅の高齢者は大変な状況となっている。それを施設で受け入れないとならない。来年には入所待ちをしている高齢者3,000人を超えるだろうと見込まれているため、子育て支援よりも、高齢者対策を今からやっていかなければ、きっとこの負担はみなさんにかかることになると思う。

そのため、国は税と社会保障の一体改革をしないともたない。これは地方自治体がどこでも抱える一番大きな問題だと思う。このようなことを、地方から国へ発信して、今の法律、制度の改革をし、財源も国を中心に考えるのではなく、地方自治体があってこそ国が成り立つという考え方にしていく必要がある。

地方の財政が成り立たないような改革では、成り立たない。今、消費税を上げるということになっているが、地方消費税は上がらない。そのようなことで日本は変えられるのだろうかと思う。

そのような国であるため、政令市は「特別市税」をつくろうと考えている。地方税の中には、政令市の市民も県税を払っているが、これをやめて、政令市税とし、政令市の市民の求める行政サービスの経費は、政令市税ですべて賄うようにするというものである。

神奈川県では、県民の治安を守るために神奈川県警があり、相模原市も横浜市も川崎市も政令市だが、県警に対する市長の権限はない。それは県民税を払っているためだが、都市が発展し交番を作とうとしても、今の県の財政能力や運用のあり方では、市ではできない。

廃藩地検で県という制度ができたが、そのときは神奈川県でも横浜市や川崎市に少しだけ街らしいものがあり、それ以外のところにはほとんどまちらしいものはなかった時代であった。そのため、昔の県は今の市の一つのようなものだった。しかし、ここまで市町村が発展し、自立ができるようになると、県がやる役割は何かということになる。県を批判しているわけではないが、市がさまざまなことを行うべきだと思う。

よく地方分権と言われるが、権限だけおろされても、財源も一緒におろしてもらわないと困る。また、地方分権改革や国の出先機関の改革で、一番やらなくてはならないのは、そこで働いている人の職場をどうするかということである。

現実問題、ここを解決しないと地方分権改革はできない。国が地方分権推進会議で提案し、霞が関の各省庁に地方分権改革を進めるように言っても、ゼロ回答で、一つも出てこない。そのため、われわれ地方自治体は自ら勝ち取っていかないとならない。

相模原市が政令市になったのは、権限や財源を広範囲にわたって神奈川県から持ってくるためである。しかし、福祉の設置基準や農用地や大規模な都市計画の決定権は県にある。これだけ発展してインターチェンジの周辺の土地利用を進めている相模原市のようなところでは、土地利用をするのは、実状を一番知っている相模原市長が権限と財源を持って行うことが当たり前ではないか。

このようなことを国に対して、一市長が言っても話にならないため、政令市長会などで決議をして国に申し入れようとしている。自主的に自分たちの市が独自に市民の要求に基づいた事業をできるように分権都市を作っていこうとする動きを活発にしている。

いずれにしても、地方の自立を図る、地方分権を進める、地方の裁量を認めるには、法の改正が必要となる。政令市になると、権限・財源が増えるだけではなく、市民に主権を渡していく必要がある。

そのため、区役所ができ、区の中に区民会議をつくった。また、区の中にまちづくりセンターというものがあり、その中でまちづくり会議を行っている。そこでは、自分たちの市、地域、区をどのように将来つくっていくか、今抱えている課題や問題をどのように解決するかというまちづくりヴィジョンを考えている。住民が自分たちの住んでいるまちをどうするべきかということをしっかり主体的になって考えてもらわないと、これからの自治体は運営できないと思う。

市は総合計画をつくるが、これは法的に定められたもので、議会に10年、20年単位の基本構想を提案して、各市のあり方を市民に示して合意をとって運営するということが義務付けられている。どこの市でも総合計画、基本構想を策定し、合意の上で市政運営が行われているが、中身は知らない人が多いと思う。手続き上あることは知っているかもしれないが、その計画の実施計画、実行計画がどのように作られ、毎年度の予算がどのように執行されているかということは知らないと思う。一人ひとりが、将来にわたって、人口構造がどのように変化し、社会保障費がどのように増え、そのための税のあり方がどうあるべきかということを考えられていないのではないかと思う。

これは。まだ先の話ではなく、4~5年はすぐ経ってしまう。そのときに、どのように医療や社会保障のためのお金を生み出すかということは、すぐにみなさんにかかわってくる。税金を上げるのはとんでもないという話になるが、今は赤字国債がこれだけある状況で、全部後年度負担に依存してしまっている。しかし、たとえば5年後に財政改革をやって、借金を減らし健全財政にしてからこのような税制改革をしようということは誰も示さない。

加えて、東日本大震災があった。新たな特別会計を作り別会計でやると言っているが、赤字は赤字である。どのように赤字を減らして、将来安心して希望を持てる社会にするかということを言う人間がいない。是非みなさんがそのことを身近な市政から考えて、そのことが国につながっていくようになればと思う。

現状の改革を国がそのまま進めていけるとは思っていない。特に地方自治体の中でも、政令市、その中でも相模原市は産業・経済・文化・人の国際化においてこれから大きく発展できるポテンシャルを持っていると思う。その中で、日本の力になれる都市づくりを進めて生きたいと思う。





 質疑応答

問 リニア新幹線の駅の設置費用は地元負担が前提となっているが、地方財政が厳しい中で、地元負担に対する住民の反応はどのようなものか。

答 品川駅と大阪駅は事業者であるJR東海が自ら設置するが、中間駅は地元で作っていただきたいということになっている。その地元という範囲は県を指す。県が窓口としての地元となる。まだ正式にJR東海が神奈川県と相模原市に来ておらず、環境アセスの段階で来ると思うが、中間駅は地元負担が原則ということをJR東海は言っている。中間駅の中で、相模原の駅と奈良の駅は地下にできることになる。地上にできる駅は350億円でできるが、地下にできる駅は,2200億円かかる。2,200億円地元負担となるが、議員からも、この地元負担は絶対拒否しろと言われている。2,200億円ということは、相模原市の一般会計を全部持っていくことになり、そのようなことはできない。

整備新幹線法の適用の中では、駅の設置は地元負担ということになっているが、簡単に言うなら、地上駅のほうが望ましい。地下駅にするのはJR東海の都合であるため、これから正式に調整に入りたいと思うが、できるだけ負担を軽減したいと思う。われわれは住民サービスをすることが目的で、リニアをつくることが目的ではない。

 

問 市内にある米軍基地についてはどのように思っているか。

答 相模原市は陸軍の施設が米軍によって接収された場所で、旧の相模原市の5%が接収地だった。相模原市は戦後急速に発展した都市で、成長するにしたがって、一番重要なエリアにある米軍の基地がまちづくりの阻害要因となってきた。こんにち、そこの返還が求められ、土地利用上、うまく都市計画的に利用していき、環境共生都市を進めるためのエリアとして確保できている。

今相模原市の市民の総意は、基地の整理縮小・早期返還であるため、これは徹底的にやっていきたいと思う。ただ、良き隣人としてのお付き合いはしていかないといけないと思う。3.11の災害でも、防災資機材を持っている自衛隊や米軍の力があったため、うまく付き合いながら、相模原市民、日本国民の安全のために連携したいという思いもある。基本的には基地はないほうが良い。

 

問 就職活動がうまくいかないのを間近で見ているが、どのような視点を持って将来を考えていくのが良いのか。

答 相模原市には専門性のある大学が多くある。相模原市ではなるべく産学官が連携をして、卒業したら外に出ていくのではなく、市内に残ってほしいと思っている。もちろん、一般的なビジネスのマッチングも関係団体とやっているが、学生は将来の相模原市や日本を背負って立つ貴重な人材であるため、学生の時代から民間との交流を進め、市内に残ってもらうように支援をしている。市役所にも来てほしい。市役所は市民生活の何でもやるため、市役所に入ることが自分の将来を実現するための手段としては一番良い手段ではないかと思う。

 

問 今相模原市で一番ホットな企業などはどこか。

答 JAXAが宇宙・航空分野の研究・開発を行っている。宇宙産業をこれからしっかりやっていきたいと思う。

 

問 小田急多摩線の延伸が進められているが、これは小田急側にはどのようなメリットがあるのか。

答 町田市と共同調査を行っており、先月事業のあり方を発表した。今度米軍の補給所が返還されるが、そこで路線を止めるのではなく、厚木を抜けて、今の小田急小田原線の愛甲吉田まで抜けるようになる。その間の相模原市周辺にリニア新幹線の駅が入ってくるため、神奈川県以西の人も利用することができる。また、相模線も複線化される。今の東海道新幹線は新横浜から小田原までの間に駅がないが、寒川の倉見に新しい新幹線の駅が造られることになっている。

1,200万人の圏域人口の人のほとんどがリニア新幹線の相模原駅を利用するため、相模原に集中させてつなげていかないとならない。町田市は福祉都市や住宅都市となっているが、ほとんど交通ネットワークがないため、多摩線の延伸をしないと、多摩ニュータウンの高齢化現象に対応できなくなるといったこともある。

 

問 これからの宇宙開発について、市としてどのように支援していくつもりか。

答 宇宙航空研究開発機構の本部が相模原市にあるため、そこと連携した子どもたちの教育も進めている。また、宇宙産業もさまざまな分野で進んでいるため、JAXAとの連携をこれからも強化し、支援できるものはしていきたい。















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