教員コラム

文学部には100名を超える教員が在籍しています。一人ひとりのリアルな教育・研究活動を紹介します。

COLUMN

世界の今後を理解する上で不可欠の
「イスラーム」を深く学ぶ

国際文化学域
教授

小林 功

国際文化学域には、合計3つの専攻があります。さまざまなバックボーンを持った教員が揃っており、文学、芸術、歴史に関して幅広いテーマを学べるのがこの学域の一番の魅力です。また学生もバラエティに富んでおり、教員であるわたくしも驚くような経歴の持ち主も少なくありません。将来海外で活躍したいと考えている人が多く、留学率が高いのも特徴です。

東ローマ帝国の首都コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)に今も残る、聖ソフィア教会(左)と聖エイレーネー教会(右)

わたくし自身は西暦600年から900年ぐらいの時期の「東ローマ帝国(ビザンツ帝国)」について研究しています。地中海沿岸の広大な領域を支配していた東ローマ帝国はイスラームに攻められ、急激に領域を縮小させていきました。ムハンマドが礎を築いたイスラームとその国家は、当時の東ローマ帝国の人々にとって、最初はまったく未知の存在でした。「彼らは何者なのか」という驚きから始まって、長い期間をかけて徐々に彼らへの認識を深め、共存していったのです。その間には幾度もの戦争や対立がある一方で、交易などで人のつながりが生まれ、互いに文化的な影響を与えあいました。世界が激変する状況の中で、東ローマ帝国の人々がどのように生きていたのかを知ることは、まさに今のグローバル化が進む社会に生きる我々に、多くの示唆を与えてくれると感じています。

これからの世界がどうなっていくかを予測するためには、世界中に多数の信徒を持つイスラームを理解することが、不可欠の時代となっています。立命館大学には中近東だけでなく、マレーシアやインドネシアなどアジア地域からイスラーム教徒の留学生がたくさん学びに来ています。東京や大阪ではコンビニや飲食店で働くイスラームの人を見ることも珍しくありません。日本は、これからさらにイスラームとの関係性を深めていくことが確実です。そうした背景から、立命館大学では関西の大学で初めて、2020年に「イスラーム」を名前につけた専攻を文学部に設置いたします。イスラームの歴史や文化をしっかりと本学で学んだ皆さんが、将来世界で活躍することを願っています。

PERSONAL

小林 功

専門領域:
ビザンツ(東ローマ)帝国史
オフの横顔:
研究を通じてワインや地中海料理が大好きに。趣味は学生時代にはじめた混声合唱(最近は聴くのが中心)。