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総長座談会 学生座談会 「金融・証券分析」の基礎〜新聞記事から読み解く〜 エクステンション講座
経済・世の中のプロフェッショナルとしてーアナリストという仕事ー
座談会風景
―2月22日、立命館大学朱雀キャンパスにて、立命館大学と日本証券アナリスト協会、日本経済新聞社の協定科目「金融・証券分析の基礎〜新聞記事から読み解く〜」の調印式が行われた。学校法人立命館総長川口清史、日本証券アナリスト協会専務理事・萩原清人氏、日本経済新聞社大阪本社代表・菊地宏氏の三氏が笑顔で握手を交わして写真撮影が行われた後、協定科目の意義や期待について座談会にて大いに語られた。
 
座談会風景
 
 
日本証券アナリスト協会萩原氏
 
 
日本経済新聞社 菊地氏
 
 
川口清史総長
 
 
 

立命館から金融界へ

川口 この度は、本学での協定科目開催にご協力いただきありがとうございます。立命館大学は地方銀行や信用金庫への就職者が伝統的に多く、古くから金融界で活躍する人材を多く輩出してきました。最近では都市銀行へ進む学生も増え、一層の活躍を期待している次第です。そのなかで、今回は日本証券アナリスト協会様、日本経済新聞社様のご協力を得て、新しい協定科目を開講できたことは、立命館での金融教育をより推し進めるきっかけになるのではないかと期待しております。
 
萩原氏 そうですね。本協会としても証券アナリストの裾野を広げたいと考えています。大学生にもっと証券アナリストという資格を身近に感じていただきたいですね。学生には人生と金融との関わりを考えて欲しいと思っています。金融とは身近で在りながら、自分達の生活との関わりをなかなか理解しにくいものです。特に最近は、若年層の数学離れが声高に叫ばれています。大学生には、少し基礎的な金融の知識が欠けているのではないかなとの印象も抱いています。その為、協会主催のアナリスト基礎講座では、数学的な要素をなるべく避け、入りやすいように工夫しています。参加者比率も学生が2割、女性が3割を占めるなど、金融知識を学ぶ入門的な場として全国で多くの参加を戴いております。今回は大学で講座を開催するということで、これから社会に出て行く上での必要な金融知識を身につける内容にできたらなと考えています。
 
菊地氏 専門家を育てる勉強、専門的な講座ももちろん必要です。しかし、入門的な知識を授ける教育もとても重要なものです。本講座を受講することで、金融に対する正しい知識や発展的な知識を吸収してほしいと思いますね。講座を修了し、より内容について深く知りたいと思った学生には証券アナリスト試験の受験や、財務会計など高度な勉強を積極的に行ってほしいと思います。しかし、そうでない人にも有用な講座であることがとても重要です。世の中の動きが自分なりに理解できるようになってほしいものです。15回の講座の中には、高度な内容から確実に押さえておいて欲しいポイントまで、たくさん散りばめられています。全ての学生に大切なポイントを理解してもらえるような講座内容にしていきたいと思います。
 

これからの金融教育

川口 金融教育という点では、立命館では附属高校で金融教育を授業として行っています。大手証券会社の依頼で一緒に高校生向けのテキストを作成するなど、近年は若い層への金融教育が積極的に行われる時代となってきました。その流れの中で、大学としても金融教育をより積極的に取り入れるべきではないのかと考えていました。今回は、経営学部の協定科目ですが、ゆくゆくは一般教養科目として、全ての学部で基礎的な金融教育を行っていきたいですね。
 
菊地氏 私ども日本経済新聞社でも、教育の日経でありたいと考えております。幸い、ビジネスマンの方々より圧倒的な支持をいただいていますが、若年層への金融教育も行っていくべきではないかと常々模索してきました。そのなかで、このように大学生への金融教育のお手伝いができることをとても喜ばしく思っております。
 
萩原氏 アメリカでは金融教育がとても進んでいます。私自身は、日本でも早期からの金融教育に力を入れるべきではないのかと考えております。大学教育に関しては、現代ファイナンスの講義に力を入れている大学とそうでない大学とにバラつきがあったりすると聞いております。立命館でこのような講座を開講できたことは、大学で社会に出て行く力をつけるとの趣旨を考えても、とても意義深いものです。
 

協定科目と証券アナリスト

川口 証券アナリストの資格ですが、近年では都市銀行や証券会社、生命保険会社などで必須となっている資格であると聞いています。これから社会人になっていこうとする大学生が積極的にこのような金融に関する資格を積極的に取得していってほしいですね。
 
萩原氏 証券アナリストの資格試験では、経済・財務分析・証券分析の3つの科目から構成され、金融人必須の素養を問う問題ばかりです。経済分析や産業分析、企業分析の基本的な知識を身につけることができる試験です。特に最近では新プログラムを策定し、行動ファイナンスの視点を取り入れるなど、時代に即した資格試験となるように力を尽くしております。
 
菊地氏 最近の実業界の流れを見ると、文系・理系の壁が全くなくなってきたのではないかと感じております。理系の大学院生が、研究職でなく証券会社での仕事に携わることなども珍しいものでは無くなってきました。なぜそのようなことが可能になるのかというと、数学が必要とされているからなのですよね。投資や定量的な分析を行う場合、数的素養はとても重要になってきます。その為、今回の講座ではそのような数的素養を身につけ、数値の上下から経済の背景を知ることができるようなものとしていきたいと考えています。
 
川口 オプションやプレミアム、新聞の証券・金融欄のことですね。理論と新聞記事が実際どのようにリンクしているのか知ることで、学生が経済をおもしろいと感じられるように成長して欲しいと思います。
 
菊地氏 そうですね。しっかりとした知識が必要な、一番読み飛ばされがちな場所を若いうちから学んで欲しいと思います。また、日本経済新聞社では本年9月より、経済やビジネスに関する知識や理解度、思考力などを問う公開試験「日経TEST」(正式名称、日経経済知力テスト)を全国主要都市で開催予定です。これは学生や社会人を対象に、経済知力、すなわち経済の仕組みを理解し、新しいビジネスを創造する力を測定することを目的に開発いたしました。TOEIC®のように主要企業が就職の判定材用とする用意もあるのですが、今回の協定講座もこのテストの内容に対応しております。証券アナリスト試験などと合わせて、学生がもっと経済を勉強しようと思うきっかけになればなと思います。
 
萩原氏 ただ報道されるニュースを、ニュースそのままに読み取るだけというのではもったいないです。例えば、原油高・資源高騰のニュースの背景にはどんな経済の問題が隠されているのか等、ニュースの裏側まで読み取ることのできるような力をつけて欲しいですね。その意味では、今回の講座と証券アナリスト、日経TESTといった経済に関する勉強を集中的に行うことはとても良い事であると思います。
 
川口 確かにそうですね。今回の講座が学生に対して有意義なものであってほしいと思います。現在の学生の傾向としては、理論的なものは敬遠する傾向にあるのですが、実社会の問題を織り交ぜながら話すと、とても興味を持って聞いてくれます。今回の講座では、新聞の読み方と併せて、原油高やサブプライムローンなど、現代経済で話題に上げられる問題の解説も聞かせて欲しいですね。また、証券アナリスト資格がどのように進路に役立つのかも示したいと思います。ロールモデルを提示することで、学生が将来の進路を考えやすいのではないかと思います。4年という限られた学生生活で、いままで苦手としてきたことにチャレンジすることはとても大きな意義があります。本講座が、積極的な学生生活を掴むきっかけとなることを期待しています。
 
萩原氏 証券アナリストは、名前に「証券」と付くことから狭い範囲のプロフェッショナルであると誤解されがちです。しかし、実際には幅広い分野を勉強したゼネラリストが証券アナリストであると言えます。たとえば、上場企業にはIR(インベスター・リレーションシップ)の担当者が必ずいます。M&Aに対処するにしても証券アナリストの知識は必要です。経営判断をするためには、株式市場、債券市場の知識はもちろんのこと、産業ごとの知識や、世の中の潮流など、全てに対してアンテナを張り、そこから経済の予測を立てることが必要です。そういった「アナリスト」のおもしろさ、やりがいを学生のみなさんも実際に肌で感じてみてください。私どもの協会の教育プログラムに参加いただければ協会が主催しているセミナーや企業説明会に参加することができます。学生のみなさんも企業の経営方針をトップから直に聞くことはよい刺激になると思います。
 
菊地氏 経済には数的素養が必要であると先ほど述べましたが、最近は算数・数学の重要性が見直されてきており、文科省も数学シフトを敷こうとしています。この講座を受講することで、証券アナリストに興味を持って欲しいですし、新聞にも興味を持って欲しいと思います。卒業し、社会人となった時にいきなり数字ばかりの経済欄を読むのは辛いものです。スムーズに新聞に入っていくための準備講座であって欲しいですね。また、最近の学生は何事もネットで済ましてしまう傾向があります。たしかにスピードや手軽さという点では新聞に勝りますが、ネットはあくまでも自らが「これを見よう」と考えながら取り入れる情報に過ぎません。新聞本来の面白みというのは、自らが欲す情報以外に、興味をくすぐる記事を見つけていく作業にあるのではないでしょうか。新聞を読むコツを今回の講座で身につけて欲しいです。
 
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